18日放送、テレビ朝日「報道ステーション」では、独特なスイングで人気のゴルフ・崔虎星(チェ・ホソン)にインタビュー。型破りなキャリアを歩んだ男の堅実な考え方を紹介した。

韓国出身の45歳は、昨季の日本ツアーで5年ぶりの勝利を含む2回の優勝を飾り、賞金ランクでもトップ10入りを果たした。もちろん、実力は折り紙つきだ。だがやはり、特に人気につながったのは、「フィッシャーマンズ・スイング」と呼ばれるユニークなフォームだろう。

以前のスイングでは「飛距離に限界があった」という崔は、「若い選手より体が硬いので、柔軟性を補うためにいろいろ考えた」とコメント。「回転して打つとより大きくな力をボールにのせられると気づいた」と、工夫の末に「フィッシャーマンズ・スイング」を生み出したと明かした。

実際、ドライバーの飛距離は40歳を過ぎてもなお伸びている。「若いころはタイガー・ウッズみたいにカッコよく打ちたかった」という崔だが、「人は顔がそれぞれ違うように、スイングも違う」と、自分のスタイルへの自負もうかがわせる。

高校卒業後にマクロの加工工場で仕事をしていた崔は、右手親指の第一関節から先を失った。失意の中で職を転々とし、ゴルフ場にたどり着いたのを機に、それまで縁がなかったゴルフを始める。このとき、24歳だった。

日本の男子ツアーで活躍する選手がゴルフを始めた年齢は、平均10.5歳。明らかにスタートから出遅れていた崔は、しかも、師匠がいなかった。雑誌を参考に、独学でゴルフを学んだのだ。

金銭的な理由で、あまりラウンドに出ることもできなかったという。だが、だからこそ、崔はラウンドの際に他選手が10日で学ぶ量を「1日で習得できるように集中して練習した」と振り返る。

その努力が実り、わずか1年3か月でプロとなった崔だが、もちろん壁にぶつかるときもある。そんなときに見るのが、思いついたことをメモした手帳だ。

手帳を見ると「初心を忘れないという気持ちになる」という崔は、「この手帳は自分にとって今でも師匠であり、基準でもあるということははっきり言える」と、いかに大事なものかを語った。

自分自身と向き合い、努力を続けた堅実なゴルファーは、一番大事にしている言葉が「一日一日、最善を尽くそう」だと明かし、「明日のことはどうなるか分からない。地球がどうなるかも分からない。その日一日を懸命に生きたい」と述べた。