たとえ「スマホを落としただけ」だとしても、そこが新幹線の車内だったら
『スマホを落としただけなのに』という映画が11月2日に公開されるそうです。筆者はこの映画の予告編を劇場で目にしたのですが、おどろおどろしい描写に目を奪われました。落としたスマホから"秘密"が暴かれていくというストーリーに演出がいかにも現代的で、身近なスマホが個人情報の塊だというのを実感させられます。
さて、この文章はなにも映画を紹介するために書いているわけではありません。きっちりした人なら一生やらかさないであろう筆者の「スマホを落としたら」の顛末記です。
事件の発端は8月末に尾瀬を取材したことでした。山中を往復2時間の山中を歩いて取材を終え、上越新幹線の上毛高原駅から帰路の新幹線に乗車。覚えているのは新幹線の中でiPhone 7を使っていたテザリングしていた、そして東京駅到着時に慌てて荷物をしまってホームへ降りた、という2点だけでした。
▲このiPhone 7が主役です(帰宅直後に撮影)
iPhoneをなくした直後にまずやるべきは、iCloudで「iPhoneを探す」を開くことです(Androidでは「デバイスマネージャー」を使ってください)。なぜ直後にやるべきかというと、警察などに届けられた後、電源を切られてしまうことが多いからです。電源を切られると「iPhoneを探す」では追跡できません。せめて最後に検知された場所を表示できれば頼りになるのですが。
筆者は普段からスマートフォンを複数台持ちしており、1台手元になくてもあまり気付かないおっちょこちょいでもあります。この日、iPhone 7が手元にないことに気付かず寝てしまっていたのでした......。翌日、iPhone 7を紛失したことに気付いた筆者は、iCloudで検索。残念ながら見つけることはできませんでした。
昨日はiPhoneをなくす前、どうやって行動したかな、と振り返ろうとGoogleマップを開いたとき、"ある違和感"に気付きました。
Googleマップに「ロケーション履歴」という機能があるのはご存じでしょうか。ユーザーが使っているスマートフォンの位置情報などから、行動を記録するという機能です。マップと連携して滞在場所も表示しますし、複数台持っていてもほぼ正しく記録してしまうという、プライバシー的には恐ろしい機能です(もちろん、閲覧できるのは自分だけです)。
ロケーション履歴で前日からの記録を見ていると、ところどころで大移動をしていることになっています。極端なのは、ずっと自宅にいた時間帯に、18分で200kmほどの大移動をしていること。そして、移動先は「JR東日本 新潟新幹線車両センター」......。そう、新幹線に置き忘れた筆者のiPhoneは、200kmの旅に出てしまっていたのです。
▲そのときのロケーション履歴。目にした瞬間思考が一時停止しました
スマホを落とした経験が豊富な筆者も、さすがに200km離れた地に落としたのは初めて。とはいえ、場所はおおよそ把握できているから、なんとかなるだろう、と最初は安堵していました。
電車内で忘れ物をした場合、乗車した列車、区間、座席の位置、忘れもの特徴などを伝えることになります。そして鉄道職員に検索してもらうのですが、今回JRの忘れ物センターに問い合わせたときには「該当なし」という答えでした。
筆者がスマホの大移動に気付いたのが翌日だったため、「翌日の拾得物も検索してみてください」と食い下がるも、「当日の忘れ物はすべて当日中に拾われますから」というつれない返事に。
JR東日本は忘れ物の問い合わせ先案内には、「GPSで所在が確認されても、すぐに対応できない場合がございます」と注記されています。わざわざこのページに記載しているということは、地図上で確認しているなどと言っても相手にされないでしょう。ここはひとまず諦めることにしました。
鉄道会社に届けられた忘れ物は、おおよそ2週間ほどの保管期間を経た後、各都道府県の警察に届けられます。そのタイミングを待つため、すぐに取り戻すことを諦めることにしました。
実は携帯電話の場合、回収の確率を高めるシステムが存在します。
携帯電話が拾得物として届けられた場合、警察はSIMカードの固有番号(IMSI)を記録し、携帯会社に連絡します。そして携帯会社は、契約者を照会し、「スマホが拾われたよ」という通知を送付する仕組みとなっています。
その通知がNTTドコモから封書で届けられたのが、紛失からおよそ20日後のことでした。
ちなみに、筆者の使っていたiPhone 7は、ソフトバンクで契約した端末をSIMロック解除して、NTTドコモのSIMに差し替えて運用していたものです。NTTドコモからの紛失通知にはiPhoneの個体番号(IMEI)も記載されていました。
携帯会社から連絡が届いたら、そこに記載されている警察書の遺失物課に受け取りに行くことになりますが、今回は筆者の自宅から数百km離れた警察署。携帯会社の回収のために旅程を組むわけには、と思いつつ、とりあえず問い合わせてみることにしました。
新潟県警の担当者に事情を説明すると「それなら、着払いで送りますよ」という返答となり、ひとまず安心。通知書に書かれていた内容を説明後、最後に、iPhoneのロック画面パスコードを伝えて、本人確認となりました。
拾得物を送る前に、受領書のやり取りを済ませる必要があるとのことで、数日後に警察署から到着した受領書に必要事項を記入し、返送。なくしたiPhoneが着払いで送られてくるまで、休日をまたいで往復5日ほどのやり取りとなりました。
最終的にiPhone 7が手元に戻ってきたのは、紛失からおよそ1カ月後。幸いなことに、iPhoneのデータに異常はなく、映画『スマホを落としただけなのに』のように執念深いハッカーに拾われることも、殺人事件が発生することもありませんでした。とはいえ、200km離れた地からスマートフォンを回収することができたのは、長い時間と多くの人の労力のおかげです。もう落とさないようにしようと心に刻みました。特に新幹線では。
さて、この文章はなにも映画を紹介するために書いているわけではありません。きっちりした人なら一生やらかさないであろう筆者の「スマホを落としたら」の顛末記です。
スマホを落としたらまず位置確認
事件の発端は8月末に尾瀬を取材したことでした。山中を往復2時間の山中を歩いて取材を終え、上越新幹線の上毛高原駅から帰路の新幹線に乗車。覚えているのは新幹線の中でiPhone 7を使っていたテザリングしていた、そして東京駅到着時に慌てて荷物をしまってホームへ降りた、という2点だけでした。
iPhoneをなくした直後にまずやるべきは、iCloudで「iPhoneを探す」を開くことです(Androidでは「デバイスマネージャー」を使ってください)。なぜ直後にやるべきかというと、警察などに届けられた後、電源を切られてしまうことが多いからです。電源を切られると「iPhoneを探す」では追跡できません。せめて最後に検知された場所を表示できれば頼りになるのですが。
筆者は普段からスマートフォンを複数台持ちしており、1台手元になくてもあまり気付かないおっちょこちょいでもあります。この日、iPhone 7が手元にないことに気付かず寝てしまっていたのでした......。翌日、iPhone 7を紛失したことに気付いた筆者は、iCloudで検索。残念ながら見つけることはできませんでした。
マップから気付いた違和感
昨日はiPhoneをなくす前、どうやって行動したかな、と振り返ろうとGoogleマップを開いたとき、"ある違和感"に気付きました。
Googleマップに「ロケーション履歴」という機能があるのはご存じでしょうか。ユーザーが使っているスマートフォンの位置情報などから、行動を記録するという機能です。マップと連携して滞在場所も表示しますし、複数台持っていてもほぼ正しく記録してしまうという、プライバシー的には恐ろしい機能です(もちろん、閲覧できるのは自分だけです)。
ロケーション履歴で前日からの記録を見ていると、ところどころで大移動をしていることになっています。極端なのは、ずっと自宅にいた時間帯に、18分で200kmほどの大移動をしていること。そして、移動先は「JR東日本 新潟新幹線車両センター」......。そう、新幹線に置き忘れた筆者のiPhoneは、200kmの旅に出てしまっていたのです。
▲そのときのロケーション履歴。目にした瞬間思考が一時停止しました
JR東日本に問い合わせるも
スマホを落とした経験が豊富な筆者も、さすがに200km離れた地に落としたのは初めて。とはいえ、場所はおおよそ把握できているから、なんとかなるだろう、と最初は安堵していました。
電車内で忘れ物をした場合、乗車した列車、区間、座席の位置、忘れもの特徴などを伝えることになります。そして鉄道職員に検索してもらうのですが、今回JRの忘れ物センターに問い合わせたときには「該当なし」という答えでした。
筆者がスマホの大移動に気付いたのが翌日だったため、「翌日の拾得物も検索してみてください」と食い下がるも、「当日の忘れ物はすべて当日中に拾われますから」というつれない返事に。
JR東日本は忘れ物の問い合わせ先案内には、「GPSで所在が確認されても、すぐに対応できない場合がございます」と注記されています。わざわざこのページに記載しているということは、地図上で確認しているなどと言っても相手にされないでしょう。ここはひとまず諦めることにしました。
鉄道会社に届けられた忘れ物は、おおよそ2週間ほどの保管期間を経た後、各都道府県の警察に届けられます。そのタイミングを待つため、すぐに取り戻すことを諦めることにしました。
実は携帯電話の場合、回収の確率を高めるシステムが存在します。
警察にスマホが届くと契約者に通知される
携帯電話が拾得物として届けられた場合、警察はSIMカードの固有番号(IMSI)を記録し、携帯会社に連絡します。そして携帯会社は、契約者を照会し、「スマホが拾われたよ」という通知を送付する仕組みとなっています。
その通知がNTTドコモから封書で届けられたのが、紛失からおよそ20日後のことでした。
ちなみに、筆者の使っていたiPhone 7は、ソフトバンクで契約した端末をSIMロック解除して、NTTドコモのSIMに差し替えて運用していたものです。NTTドコモからの紛失通知にはiPhoneの個体番号(IMEI)も記載されていました。
警察署まで取りにいけなくても、まずは問い合わせを
携帯会社から連絡が届いたら、そこに記載されている警察書の遺失物課に受け取りに行くことになりますが、今回は筆者の自宅から数百km離れた警察署。携帯会社の回収のために旅程を組むわけには、と思いつつ、とりあえず問い合わせてみることにしました。
新潟県警の担当者に事情を説明すると「それなら、着払いで送りますよ」という返答となり、ひとまず安心。通知書に書かれていた内容を説明後、最後に、iPhoneのロック画面パスコードを伝えて、本人確認となりました。
拾得物を送る前に、受領書のやり取りを済ませる必要があるとのことで、数日後に警察署から到着した受領書に必要事項を記入し、返送。なくしたiPhoneが着払いで送られてくるまで、休日をまたいで往復5日ほどのやり取りとなりました。
最終的にiPhone 7が手元に戻ってきたのは、紛失からおよそ1カ月後。幸いなことに、iPhoneのデータに異常はなく、映画『スマホを落としただけなのに』のように執念深いハッカーに拾われることも、殺人事件が発生することもありませんでした。とはいえ、200km離れた地からスマートフォンを回収することができたのは、長い時間と多くの人の労力のおかげです。もう落とさないようにしようと心に刻みました。特に新幹線では。