(左から)湘南ベルマーレの貴裁監督、FW高山薫【写真:Getty Images】

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梅崎や大野らチームメイトに背中を押され、ルヴァン杯の優勝カップを掲げる大役を担う

 湘南ベルマーレは27日のルヴァンカップ決勝で横浜F・マリノスを1-0で破って大会初優勝を飾り、1994年度の天皇杯以来となる国内三大タイトルを獲得した。

 優勝カップを掲げる大役を担ったキャプテンのFW高山薫は、長年師事してきた者貴裁監督とともにクラブの歴史に新たな1ページを刻めたことに「素直に嬉しかった」と思いを馳せた。

 初のルヴァンカップ決勝進出を果たした湘南は、前半36分に相手選手がディフレクションしたボールをMF杉岡大暉が拾い、ペナルティーアーク後方から左足を振り抜く豪快な一撃で先制に成功。後半は一転して横浜FMの猛攻に遭ったが、最後までゴールを許さず、1-0で勝利した。

 高山はMF梅崎司に代わって後半32分から途中出場。チームの大会初優勝のためにピッチを奔走し、体を張って横浜FMの猛攻をしのいだ。誰が掲げるか注目された優勝カップは、梅崎やDF大野和成、DF山根視来らに「行きなよ」と背中を押されて大役を担った。在籍年数はDF島村毅に次ぐチーム2番目。その間には昇格と降格の両方を味わっている。クラブが歩んできた歴史、選手の入れ替わりを見てきたからこそ、感じることがあったという。

「自分も長く在籍しているので、歴史的勝利だと感じます。ただ一方で、毎年選手も変わってきたので、自分がクラブにいる重みよりも、今年このメンバーで(タイトルを)勝ち獲ったという思いが強いです」


「者さんにはめちゃくちゃ怒られて、奮起して……、やっぱり凄い人だなと戻ってくる」

 2011年に湘南に加入以降、高山は主力としてチームを牽引してきた。しかし、昨季は開幕直後に右膝前十字靭帯損傷の重傷を負い、シーズンの大半を棒に振った。3年連続でキャプテンに任命された今季も、29試合中19試合(うち先発は9回)の出場とスタメンから外れる機会が増えた。夏には「サッカーは試合をするためにやっているから、出たいという思いはあります」と胸中を明かしていたが、「常に全力でやってきた」自負が苦境の高山を動かした。

「今までずっと試合には出してきてもらった方だと思います。正直全力でやっているけど、なかなかチャンスが来ないこともあった。でも、それも良い経験だと思います。ここでもうダメだと思ったらおしまい。常に準備してちゃんとやることが大事だし、今までも自分はそうしてきた。そこは変わっちゃいけないな、と。俺は声で引っ張るタイプじゃないので」

 高山が「前向きにやれた」もう一つの理由が、者監督の存在だ。二人は川崎フロンターレの下部組織で邂逅。高山がプロ入りした2011年以降、柏レイソル移籍の1年間を除いて、熱血指導を受けてきた。時に厳しい指導に心が折れそうになりそうなこともあったというが、者監督だったからこそクラブ史上2度目のタイトル獲得に辿り着けたと高山は話す。

「者さんにはめちゃくちゃ怒られて、奮起して……、というループを何周もしました。キツイなということを言われて、何回も嫌いになりそうになって(笑)。でも、やっぱり凄い人だなと戻ってくるんです。柏から戻ってきた理由も、者さんの存在があったから。そういう意味では、者さんだからここまでやってこれたと思います」


「最後にどこへ着地するかが大事。思い出に浸るのはシーズンが終わってからでいい」

 湘南はルヴァンカップ決勝の余韻に浸るのもそこそこに、翌28日にはリカバリーに努めたスタメン組以外は2時間近い練習でみっちりと汗を流した。中2日で30日に対戦するジュビロ磐田は、15位と残留争いをするライバルの一つ。直接対決は絶対に落とせないだけに、高山も「優勝の実感はもうない」と先を見据える。

「者さんも優勝はゴールじゃないと言っていました。優勝した自信はしっかり持って、でもそこで過信するんじゃなくて、いつも通りのサッカーをすれば必ず良い結果はついてくる。あと1カ月でリーグも終わるし、混戦なので、逆に連勝したら上も見えてくる。最後にどこへ着地するかが大事。思い出に浸るのは、シーズンが終わってからでいいと思います」

 ルヴァンカップ優勝の喜びを胸にしまい、湘南のキャプテンはリーグ戦残り5試合を全力で駆け抜ける。


(Football ZONE web編集部・小田智史 / Tomofumi Oda)