「収入は、1カ月5万5000円の年金だけ。お金がなかったら、ないなりの生活をすればいい。でも、自分の健康は自分で守らなきゃ」と話すのは、尾畠春夫さん。

 身長161センチ、体重57.5キロと、一見小柄なおじいちゃん。だが、その肉体は、とても78歳とは思えないほど筋骨隆々としていた。

 山口県周防大島町で、行方不明になっていた藤本理稀ちゃん(2)を発見し、一躍 “カリスマボランティア” として注目を集めた尾畠さん。28歳から65歳まで、地元の大分県別府市内で鮮魚店「魚春」を営んでいた。近隣住民はこう話す。

「春さん(尾畠さん)は、魚を捌かせると天下一品。地元で評判でした。だから刺身は春さんの店と決めていた。年末は、刺身を求めるお客さんがずらっと並んでいたほどです」

 鮮魚店の向かいの家にスズメバチの巣が見つかると、率先して取り除いたこともあったそうだ。

「尾畠さんは昔から変わらないね。魚が入っていた箱を解体して、由布岳の遊歩道にあるベンチを直したりしていましたよ」(別の住民)

 尾畠さんは、大分県安岐町(現・国東市)の出身。小学生のころに母親を亡くし、農家に丁稚奉公に出るなど、苦労を重ねた。

 妻とは、「鮮魚店の前の道を通学していた女子学生に一目惚れして結婚した」(住民)という。一男一女をもうけ、それぞれ独立。孫は5人もいる。しかし現在は、妻とは別居中なのだという。

「5年前に籍はそのままで別居しました。(妻が)旅に出たいと言うからね。息子は何も言わないね。私は私で生きる、という感じ」(尾畠さん)

 一人暮らしの尾畠さんの生活の中心は、ボランティアだ。

「朝は5時前に起きて、何もないときは8キロ走る。食べ物は自然の野菜に肉や魚も食べますよ。甘酒は昔から好きです。米のしぼり汁で体にいいから。ボランティアは体が元気なことが基本です」(同前)

 好きだった酒は7年5カ月、口にしていない。東日本大震災の仮設住宅がすべてなくなるまで、一滴も飲まないことを誓ったという。尾畠さんに、体の悪い部分を聞いてみた。

「顔と色黒なところと、足が短いところ」と、いたずらっぽく笑った。

(週刊FLASH 2018年9月4日号)