iPhoneやApple Watchのボイスメモにまつわる裏技を3つ紹介する(筆者撮影)

日本では初代iPhoneとなるiPhone 3Gから脈々と受け継がれてきたアプリの1つが、「ボイスメモ」だ。ボイスメモの機能は非常にシンプルで、録音、再生、編集の機能が搭載されている。


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iPhoneは携帯電話ゆえにマイクの性能も高く、周囲の声をしっかり拾ってくれる。専用のボイスレコーダーの中にはマイクがより高性能なものもあるが、普段利用するにはこれで十分という人も多いだろう。モバイルデータ通信やWi-Fi経由で気軽にファイルを送れる点も、専用のボイスレコーダーにはないメリットといえる。

シンプルで使い勝手がいいこともあり、iOS 12ではiPadへ搭載されることも決まった。ただ、バックグラウンドで音声を再生できないなど、使い勝手の面であと一歩なところもある。また、Apple Watchには対応していない。ただしこうした問題は、裏技やアプリを導入することで、解決することが可能だ。そこで今回は、iPhoneやApple Watchのボイスメモにまつわる裏技を3つ紹介していこう。

1.バックグラウンド再生ができない問題を解決

ボイスメモで録音した音声を再生する際に不便なのが、バックグラウンドで再生ができないことだ。移動中に録音しておいた会議の音声を聞きながらiPhoneで簡単な議事録を作成したり、メモとして吹き込んでおいた声を聞きながらメールを書いたりといったことができない。ボイスメモを終了させると、再生していた音声もそのまま止まってしまう。


ファイルアプリからだと、バックグラウンドで音声を再生できる(筆者撮影)

かつては、音声を再生したまま、コントロールセンターから電卓などのアプリを立ち上げるとそのままバックグラウンドで再生が続くという、バグをついたような裏技もあったが、iOS 11ではそれもふさがれてしまった。残念ながら、現状のOSでは、ボイスメモ単体でのバックグラウンド再生ができない状態だ。

ただし、ボイスメモで録音した音声を別のアプリにコピーすれば、こうした問題は一発で解消する。別のボイスレコーダーアプリをインストールするという手もあるが、無料でかつ、iPhoneに内蔵されているアプリだけで完結できて手間がかからないのは、「ファイル」アプリにコピーするという手だ。

手順も簡単で、まずボイスレコーダーで聞きたいファイルを選択して、共有ボタンをタップする。共有のメニューでは、「ファイルに保存」を選択。すると、ファイルアプリが立ち上がり、保存先を選択する画面が現れる。あとは適当な保存先を選択するだけだ。ファイルアプリの仕様上、ボイスメモ専用のフォルダを作成できないため、ここではとりあえず「Pages」のフォルダを選択した。

あとはボイスメモを終了させ、ファイルアプリから先ほど選択したフォルダを開き、ファイルをタップして音声を再生するだけだ。再生中にファイルアプリを終了させても、そのまま音声が流れ続ける。録音した音声を聞きながら、別の作業をしたいときにはぜひ覚えておきたい裏技だ。

2.アプリを使ってApple Watchで録音する

iPhoneは、使っていないときはポケットやカバンの中にしまってしまうため、いざボイスメモを使おうと思うと、必ず“取り出す”という動作が必要になる。これに対し、Apple Watchは、腕時計型のためつねに腕に身に着けているのがiPhoneに比べたときのアドバンテージの1つといえる。ボイスメモをすぐに起動できるのは魅力だ。特に、自分の声で何かをメモしたいようなときは、Apple Watchの手軽さに軍配が上がる。


無料で使える「Aurora Recorder」。コンプリケーションにも対応(筆者撮影)

ただ、残念なことに、Apple Watchにはボイスメモアプリが内蔵されておらず、そのままだと音声の録音をすることができない。これを解決するには、Apple Watch用のボイスレコーダーアプリをインストールすればよい。ボイスレコーダーアプリはApp Storeに複数存在するが、無料で必要十分な機能を備えているのが「Aurora Recorder」だ。Apple Watchのコンプリケーションにボタンを設定することもでき、ワンタッチで文字盤から録音を開始することができる。

録音はバックグラウンドで行われるため、Aurora Recorderを閉じて、文字盤で時刻をチェックしたり、通知を見たりといったこともできる。iPhoneほど録音していることが目立ちにくいため、相手に気づかれないように使える。頻繁に利用するかどうかは別として、たとえばセクハラやパワハラなど、相手の不正を告発するときの証拠集めにも役立つだろう。もちろん、プライバシーの侵害をするような悪用は厳禁だ。

録音したファイルは、メニューからiPhoneに転送することが可能。iPhone側では再生や共有、ファイル名の変更などができる。もちろん、再生はApple Watch側でも可能。何か別の作業をしながら、サッと録音した音声を聞きたいときにも便利なアプリといえる。

Aurora Recorderは無料ゆえに機能はシンプルだが、多機能なアプリを求める場合は、有料アプリを利用する手もある。先に挙げた機能を満たしつつ、音声の文字起こしや、iCloudへの自動バックアップなどを備えた「Just Press Record」も評判がいいアプリの1つだ。600円と値段は少々高いが、ボイスレコーダーを買うと思えば安い。まずは無料のAurora Recorderを使ってみて、物足りないと思ったらJust Press Recordを購入してもよさそうだ。

3.録音を素早くするには、コントロールセンターを活用

ボイスメモはシンプルなアプリのため、開いて録音ボタンを押すだけと素早く操作できるが、アプリのアイコンをどこに置いたかを忘れてしまうこともあるだろう。アイコンのデザインも白地にシンプルな波形が描かれているだけのもので、ズラッと並んだアプリの中に埋もれてしまいがちだ。


コントロールセンターから、録音を開始することが可能だ(筆者撮影)

そこでオススメなのが、コントロールセンターからボイスメモを起動する方法だ。ただし、標準ではボイスメモのボタンがないため、ユーザーが設定する必要がある。コントロールセンターにボイスメモを加えるには、「設定」から「コントロールセンター」に進み、「コントロールをカスタマイズ」をタップしたあと、ボイスメモの横にある「+」をタップすればよい。

コントールセンターでボイスメモのアイコンをタップすると、ボイスメモアプリがすぐに起動する。この方法で録音を開始してもいいが、アプリを開くのとあまり変わらないため、より素早く操作したいときは3D Touchを活用するといい。ボイスメモのアイコンを強く押し込むと、直近に録音した3つのファイルと、「新規録音」のボタンが表示される。

ここで新規録音のボタンをタップすると、ボイスメモアプリが起動するのと同時に、録音が開始される。録音した音声を聞き返したいときも、3D Touchのメニューから選択すると便利。頻繁に利用するボイスメモだが、ドックに入れておくほどではないというときに活用したい裏技だ。

ちなみに、ボイスメモのアイコンを3D Touchで強く押し込んでも、同じメニューが出る。コントロールセンターはあまり開かないという人は、アイコンをわかりやすい場所に置いておき、3D Touchで新規録音を開始すると、手順が1つ少なくなる。