陸域観測技術衛星「だいち2号」(JAXA提供)

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 総務省は衛星画像などの衛星データを活用した事業の創出を企業に促す体制を2018年中にも構築する。衛星データとその活用方法の知見を持つ専門家らに相談できる窓口を設け、企業の事業アイデアに合うデータの提案などを行う。衛星データの一部は民間に開放されており、それを活用した災害予測やマーケティングなどが期待されている。ただ、企業の多くは衛星データに関する知見を持たないため、活用が進んでいない。

 総務省は衛星データ活用に関する相談窓口「人工衛星コンシェルジュ(仮称)」を整備する。情報通信研究機構(NICT)に窓口を設け、NICT所属の衛星データやデータ利活用の専門家が企業の相談に対応する案などを検討する。有識者会議による議論を通じて、今夏をめどに具体的な体制を固める。

 衛星データを巡っては宇宙航空研究開発機構(JAXA)などが衛星やセンサーで取得した衛星画像や大気データなどについて企業などが利用できる環境を整えている。これらと地上の気象や交通量などのデータを組み合わせ、人工知能(AI)で分析することで新サービスの創出が期待できる。土砂災害の検知のほか、小売業が新規出店を検討する際のエリア評価などのサービスが見込める。

 政府は衛星データなどを活用した宇宙産業市場について2030年代早期に現状比2倍の2兆4000億円に拡大する目標を掲げている。企業が衛星データを活用しやすい環境を整え、市場拡大を加速する。