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■“I expect you to come at 4 pm.”は「4時に必ず来い」の意味

ネーティブスピーカーとの商談や会議で、正しく英語を話していたつもりでも、相手が急に怪訝な表情をしたり、不機嫌になったりしたことはないでしょうか? もしかすると、覚えた単語を組み合わせただけでは、ネーティブにあなたの意図することがきちんと伝わっていないのかもしれません。これから、英会話をマスターしたつもりの日本人が犯すNG事例を紹介します。

実際にあった事例では、ある会議で日本のビジネスパーソンが、米国人に“How do you think?”と尋ねたところ、その米国人は怒りだしてしまいました。日本人は、「あなたはどう思いますか?」と伝えたかったのでしょう。しかし、その表現は「どのように考えるのか」ではなく、「(どうしてそう考えるの)自分で考えればわかるでしょ?」と、相手を軽蔑するニュアンスになってしまうのです。“What do you think?”などと問いかけていれば、トラブルは起こらなかったはずです。

また、16時に来社予定のネーティブに「お待ちしています」と伝えようとした場合、“I expect you to come at 4 pm.”と言ってしまうのもありがちなミス。「16時に本当に来るんだろうね?」=「必ず来い」といった不信感を含んだ、高圧的な表現になってしまうからです。それに対して、“I'll be expecting you at 4 pm.”といった表現なら、問題はありません。

■会話を弾ませる万能ワード「Oh」

電話応対で「どちらさまですか?」と尋ねる場合、“Who are you?”と聞いてしまうと、相手の怒りを買うでしょう。なぜなら、これは「お前は誰だ」といった意味になり、実際は警察官が不審者を尋問したりするときにしか使わない表現だからです。正しくは“May I ask who's calling?”と言うべきでしょう。

英語の適切な表現方法を覚えるのに、残念ながら早道はありません。英会話の場数をこなし、どんなシチュエーションに、どんなフレーズが適しているのかを、ケースバイケースで身につけるしかないのです。とはいえ、「正しい表現をする自信がないから、英語を話すのが怖い」と、黙ってしまっては元も子もありません。

そこで、会話を弾ませる万能ワードを、1つご紹介します。文頭につける感嘆詞「Oh」です。例えば、単なる“That's great.”では、状況によっては嫌みと取られる場合もありますが、“Oh! That's great.”なら、感情がこもった褒め言葉と受け取ってもらえます。また、道を尋ねられて、“I don't know.”とそっけなく答えるよりも、“Oh! I don't know.”と答えたほうが、「申し訳なさ」が表れている感じがします。さまざまなシーンで役立つ「Oh」を活用してみてください。

英会話で肝心なのは、身振り手振りを交えて、表情豊かに話すこと。そうすれば、英語の使い方が多少間違っていても、真意は伝わることが多いのです。ネーティブも、あなたが懸命に話そうとしていれば、熱心に理解しようとします。細かな言葉遣いは気にせず、ぜひ積極的にスピーキングにトライしましょう。

■失言・誤解を招く、ありがち直訳英語6フレーズ

▼会議、ミーティングで相手を怒らせる

1.「あなたはどう思いますか?」
NG:How do you think?(自分で考えればわかるでしょう?)
OK:What do you think?

【解説】Whatではなく「How」を用いることで「どう考えているの?→そんなこと自分で考えればわかるでしょう?」という嫌みなニュアンスに。

2.「ご意見ありがとうございます」
NG:Thank you for criticizing my proposal.(私の提案を批判してくれてありがとう。)
OK:Thank you for evaluating my proposal.

【解説】プレゼンの場で、質問などを終えた後の締めくくりの一言。「批判してくれてありがとう」という皮肉な意味に。日本語の「批評」は肯定的・否定的、両方の意味がありますが、英語のcriticizeにプラスのイメージはない。

▼取引先への不信感、イライラを表現

3.「3時に待ち合わせでお願いできますか?」(アメリカ人に対して)
NG:Could you please arrive at 3 pm?(3時の待ち合わせには遅れないでくださいね?)
OK:Could you arrive at 3 pm?

【解説】「please」を付けて丁寧な意味合いを持たせたつもりが、アメリカ人からは「いつも遅刻してるけど、今回は絶対に遅れないように」という念押しの意味にとられてしまう。

4.「16時にお待ちしています」
NG:I expect you to come at 4 pm.(16時に来るんだよ、わかった?)
OK:I'll be expecting you at 4 pm.

【解説】I expect you to……はイライラして「(きみに)……してもらいたいんだ」と要求するようなときに使う表現。I expect you to just do your job without complaining.なら「文句を言わないで仕事だけやってほしい」という意味に。

▼電話口の相手を不審者扱い

5.「どちらさまですか?」
NG:Who are you?(お前は誰だ!)
OK:May I ask who's calling?

【解説】中学で習う例文ですが、「自宅に侵入した不審者に対して」言うイメージ。電話口でいきなり言ったら、大変なことになる失礼発言。

▼過去を表す動名詞「〜ing」と未来を表すto+動詞の原型の誤用

6.「荷物を送り忘れてた!」
NG:I forgot sending the package.(荷物を送ったことを忘れていました。)
OK:I forgot to send the package.

【解説】「sending the package」と「to send the package」のどちらも「荷物を送ること」ですが、ing形の動名詞だと過去を意味するため、ここでは未来的な意味を表す「to send」を用いるのが正解。

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David A.Thayne(デイビッド・セイン)
「AtoZ英語学校」代表
アメリカ出身。日本での30年にわたる英語指導の実績を活かし、英語学習書、教材等の制作を手掛ける。累計400万部を超える著書を刊行、『英語サンドイッチメソッド』などベストセラー著書多数。

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(「AtoZ英語学校」代表 David A.Thayne 構成=野澤正毅 撮影=石橋素幸 写真=iStock.com)