貴乃花親方、「理事選」基礎票では圧倒的不利なのに「当選」予測が出る理由
貴乃花親方は、大相撲協会の理事候補選挙で勝てるのか、勝てないのか。一門から貴乃花親方を含め2人が立候補することになり、「基礎票」だけで判断すると当選ラインに届かない。
しかし、親方には一門を超えた支持者がいるとされ、立候補の受付を前日に控えた2018年1月31日のワイドショーでは、具体的な票数を積み上げて、親方の当選ラインを分析する番組もあった。コメンテーターの中には、貴乃花親方当選にとどまらず、「まさか」の展開の可能性を指摘する人もいた。
1人が落選
理事候補選は、2月1日に立候補が受け付けられ、2日に投票がある。101人の親方が投票し、定数10人の理事候補を選ぶ。これまでに9人の立候補の予定が確認されていたが、1月30日夜の貴乃花一門の会合で、貴乃花・阿武松(おうのまつ)両親方の2人が立候補することになり、投票に持ち込まれる公算が高くなった。予想通りの顔ぶれが立候補すれば、1人が落選することになる。
当選ラインは9票とみられている。貴乃花一門の基礎票は、「一門8票+無所属3票」。無所属として錣山(しころやま)親方=元関脇寺尾=がよく知られている。各局ワイドショーなどによると、1月30日夜の会合で、貴乃花親方は、自身の1票だけで立候補するので、他の10人(票)は阿武松親方に投票するよう呼びかけたという。10票なら阿武松親方は当確ラインを超える。では貴乃花親方はどうなるのか。
31日昼のワイドショーでは、「(貴乃花一門の)2人ともが当選するのは難しい情勢かもしれない」(「ワイド!スクランブル」テレビ朝日系)、「(貴乃花親方は、今回の当選ではなく)次の次を見越しての立候補」(「ミヤネ屋」日本テレビ系)といった見立ても紹介された。
「隠れトランプ」現象
一方、立候補の予想顔ぶれ(6の一門で計11人)の名前の上に、「基礎票」を積み上げたパネルを使って、貴乃花親方の当選の可能性を指摘する番組もあった。
「直撃LIVE グッディ!」(フジテレビ系)では、他の一門から4親方が、貴乃花親方へ票を投じる可能性を指摘した。自身の娘が貴乃花親方の息子と結婚した陣幕親方(基礎票分類では、八角理事長派)らの名前が挙がった。他にも、立候補予定者とされながら、貴乃花親方に近いとされる、山響親方(出羽海一門=4人が立候補予定=)の動向にも注目した。山響親方の基礎票は「4プラス・アルファ」で、当確ラインには達していない。あえて当選をあきらめ、貴乃花親方へ票を回す可能性もある、と分析した。
それでも貴乃花親方の当選は厳しい、との見方も出たが、MCの安藤優子さんは
「トランプ米大統領が『まさか』の当選を果たしたのは、隠れトランプ支持があったから。かくれ貴乃花がいるなら...(当選はあり得る)」
「むしろ、(貴乃花一門の2人で)ワン・ツー・フィニッシュをするくらいの強い気持ちなのでは?」
と、30日夜の会合後に貴乃花親方が報道陣に、最近では珍しく見せた満面の笑顔の真意について分析した。
コーナーの最終版、東京相撲記者クラブ会友の大隅潔氏は
「(貴乃花親方、)何とか(当選圏内に)入ってもらいたいかな」
と、予想を交えたかのような、期待感を表明した。
「八角理事長が落選」の可能性も?
TBS系の「ゴゴスマ〜GOGO! Smile!〜」は、パネルの票を1票単位で、具体的に移動させながら話を進めた。「グッディ」が挙げた以外の「浮動票」親方の名前(佐渡ケ嶽親方)などを挙げながら、最終的に貴乃花親方の票数を「9」と見積もり、落選するのは、貴乃花親方に近い山響親方の可能性があると指摘。東京相撲記者クラブ会友の大見信昭氏も
「(落選の可能性が高いのは)山響親方かな」
との見立てを披露した。コメンテーターの東国原英夫・元宮崎県知事は、政治の世界の選挙では、安全圏とみられていた候補が落選する、まさかの事態はよくある、として、「八角(理事長)潰し」のうごめきがあって「八角理事長が落選」という可能性もあり得るような気がする、と深読みしていた。