流行語大賞2017ノミネートされた30語がインパクトなく残念な理由
「言葉そのものに勢いがなく、低調な年。事象をそのまま直接的にとらえる言葉も多かった。例年と比較すると、嗜虐性、負の言葉が多い年だったとも言えます」
今年流行した言葉を決める『2017 ユーキャン新語流行語大賞』の大賞候補30語(記事下参照)が11月9日に発表された。ブルゾンちえみの持ちネタ『35億』や、サンシャイン池崎の『空前絶後の』という叫び、爆発的にヒットした玩具『ハンドスピナー』などの言葉が連なったが、同賞の事務局は冒頭のようにコメントしている。
「今年の傾向はズバリ“不作”。昨年は『ゲス不倫』『文春砲』のようなインパクトのある言葉が多かったのですが、今年は例年よりも、まんべんなく拾った印象があります。選定で『忖度』されてしまったのではないでしょうか」
と、桜美林大学講師の瀬沼文彰氏も指摘するように、今年のノミネート語には首を傾げる人が多い。“忖度”なしで瀬沼氏にインパクトのある言葉をセレクトしてもらうと、選ばれたのは豊田真由子元議員の“あの言葉”だった。
「彼女の発言からノミネートされるなら『このハゲー!』のほうがインパクトがありましたよね。今回選ばれた言葉は、どれもテレビ的。日常で使わない言葉も多い気がします」
小池百合子都知事が豊洲市場に関する会見で使用した『アウフヘーベン』もノミネートされたが、日常生活では使わない言葉。彼女の言葉では、民進党出身議員の一部を『排除します』という発言のほうが印象に残っている。
コラムニストのペリー荻野氏も、同様に候補になった『ユーチューバー』について、
「松居一代さんがユーチューブで披露した『恐怖のノート』のほうが候補に入ってもよかったのではないでしょうか。将棋から『ひふみん』と『藤井フィーバー』、政治から『魔の2回生』と『忖度』など、同じジャンルの言葉が選定されているように感じますね」
ほかにもSNS上の言葉では『インスタ映え』以外に“世間に影響力を持つ人”という意味の『インフルエンサー』もよく使われている言葉。ディーン・フジオカも『サタデーステーション』(テレビ朝日系)に、この肩書で登場しているが、選外に。
「同じジャンルから選ぶにしても“これいいね!”となるような、しゃれっ気のある言葉がない印象。流行語は今年を象徴するものです。ワクワクするような言葉を選ぶための“遊び心”が少なかったのかもしれませんね」(ペリー氏)
インパクトのある言葉には恵まれなかったが、瀬沼氏はこうも指摘する。
「自然発生した言葉よりも、藤井棋士や小池知事、SNSなどの事象が先行した言葉が目立ち、付随してさまざまな言葉が流行語になっているように感じました」
語句よりも、流行した事象がスゴかった'17年。はたして真の流行語は、どんな言葉だったのか!?
【大賞候補30語】アウフヘーベン、インスタ映え、うつヌケ、うんこ漢字ドリル、炎上◯◯、AIスピーカー、9.98(10秒の壁)、共謀罪、GINZA SIX、空前絶後の、けものフレンズ、35億、Jアラート、人生100年時代、睡眠負債、線状降水帯、忖度、ちーがーうーだーろー!、刀剣乱舞、働き方改革、ハンドスピナー、ひふみん、フェイクニュース、藤井フィーバー、プレミアムフライデー、ポスト真実、魔の2回生、◯◯ファースト、ユーチューバー、ワンオペ育児
※写真キャプションの内容を更新しました(2017年11月15日22:45)