「好きな気持ちは女性と変わらない」男子大学生あくにゃん、男性アイドルを語る
〈第一声〉
男性アイドルを応援する男性
〜茶色い声援〜
最近、ジャニーズの現場において、男性のヲタクが増えてきたように感じる。現に、私はKis-My-Ft2(以下、キスマイ)の北山宏光氏のファンであり、Jr.では森田美勇人氏を見て、エロいエロい言いながら、HiHi Jetの井上瑞稀氏の成長を見守っている<男子>大学生だ。
私は、キスマイのデビューと同時にジャニーズにハマることとなるが、最近は本当に、男ヲタが増えてきたように感じる。娘に連れてこられた<パパ>を見かけることは多々あったが、以前、玉森裕太氏の男ヲタ5人組くらいが、彼の担当カラーである黄色の服を、おそろいで着て参戦している姿を見た際はかなり驚いた。
だが、我々以上に、男性ヲタに支持をされることで、驚きやうれしさを感じているのはメンバー自身ではないだろうか。最近ではアイドル側が「女子〜? 男子〜?」と煽るイニシエーションがしばしば起きる。
そして、この男子からの声援をキスマイのメンバーは<茶色い声援>と呼び、横浜アリーナで開催した『Kis-My-Ft2 LIVE TOUR 2017 MUSIC COLOSSEUM』においては、「小さい子〜?」という、子供に向けた呼びかけをしたにも関わらず、この茶色い声援が混じり(なぜか横尾さんはキレていたが笑)会場は笑いに包まれていた。
韓国の男性アイドルグループ『防弾少年団』のライブにおいても、図らずも男性からの声援だけが、目立ってしまった際にメンバーが爆笑しながら床に倒れこむ姿は印象的だった。
スターダストに所属する男性ユニットたち(超特急やDISH//等)に関しては、男性だけを対象にした『男祭り』も開催するほど、<男を応援する男>は一般化してきている。
しかしこれらは最近の風潮ではないだろうか。今から5年くらい前に発売された韓流ブームについて書かれた本には「ライブ中に男性の声が聞こえると醒める」という旨の文があり、私は驚いた。
たしかに、女性が束になって叫んでいるのに、わざとズラして目立とうとする男性は必ずいて、一部の女性ファンが微妙な気持ちになる一方でアイドル本人たちは大喜び、というなかなかに複雑な軋轢(あつれき)が生まれていることはある。
人気の指標として使える<男性ファン>の存在
また、男性ファンがいると、メンバーが客席降りをした際も、その男性のみを構うので、近くにいる一帯の女性ファンがまとめて干される(相手をしてもらえない)こともある。
実際に、私自身、男性だからという理由だけで、ファンサ(ファンサービスの略で、推しからのレスポンスを指す語)を受けていると感じることは多々ある。これを逆手にとって、メンバーからファンサをもらうために、男性を<おとり>として、一緒に参戦する女性も少なくない。
メンバーは「女性ファンがどのくらい増えたか」のほかに、「同性である男性のファンが増えたか」も、自身が人気かどうかの指標にしている。
ジャニーズにおいては、Jr.の頃からすでにファンがいるため、「昔はファンなんていなかったのにね」は使えないのに対し「昔は男のファンなんていなかったのにね」は、人気の指標として使えるのだ。
AKB48を応援する女性も、G-DRAGONを応援する男性も、アイドルの<楽曲>ではなく、ファッションや思考、キャラクターなどの、いわば<ライフスタイル>の方をキッカケとして好きになっている印象がある。“真似したくなるか”が重要になっていたり、逆に、自身とはかけ離れた私服センスや容姿に惹かれたりすることがある。
Twitterにおいても、歌って踊る動画よりも、Sexy Zoneの菊池風磨氏がロケで好き放題する動画が男性間でもバズったように、今は楽曲以外でのパフォーマンス能力も重要であり、かつ、それがSNSの発達により、男女問わず、個人の視界に届きやすくなったことは大きい。
SNSという個人が個人の見解だけで発信できるツールを持たないジャニーズが、同性ファンを今後、どうやって獲得していくのかは見ものだ。
最後に。これから男性ファンはおそらく増加していくが、いちファンとして、いちアイドルが好きな気持ちは、女性の方と変わらないので、是非とも温かく見守っていただきたいと思う。
男性である私の目から見ても、北山宏光氏のシャカリキダンスは格好良くて、井上瑞稀氏の成長には涙が出て、森田美勇人氏はエロいのだ。
<著者プロフィール>
あくにゃん◎1995年生まれ。ジャニーズやK-POPをはじめとした、日韓のアイドルの応援が日々の生きがい。
Twitter/ @akunyan621