Sexy Zone、薄氷を踏む思いで死守した記録と事務所内で起きている “セクゾ渋滞”
「YOUたち、なんで2位なんだ!?」
かつてSMAPがCDデビューした際、ランキング初登場1位を逃したときにジャニーさんが発したという逸話がある。その言葉が頭をよぎった。
10月3日付のオリコンデイリーチャート。この日、8万1886枚の売り上げで1位を獲得したのは「モーニング娘。'17」の新曲『邪魔しないで Here We Go!/弩級のゴーサイン/若いんだし!』だった。
同日発売のSexy Zone『ぎゅっと』は、6万2881枚で2位。オリコンウィークリーチャートでは、デビュー以来、シングル13作連続1位記録を更新中のSexy Zoneなだけに、1位と2万枚近い差がついた出だしは、話題を集めた。
とはいえ翌日にはSexy Zoneがデイリー1位を獲得し逆転、週間のトータルセールスでは11.9万枚を記録。無事、14作シングル連続1位記録を死守することができた。
「Sexy Zoneの前作『ROCK THA TOWN』の1日目の売り上げは約5.6万枚でしたから、数字は伸びていたんですよ。予想以上にモー娘。が売れたことで、“ヤバい”という空気になったといえます」
と、ある芸能関係者は言う。
「モー娘。は、今年結成20周年。新曲発売に合わせたメディア露出も増えていました。女優の松岡茉優ら、モーヲタだという人気有名人が、“いまのモーニング娘。はこんなにスゴい!”など、アピールしていることも、再注目を後押し、“キテる感”を出すことができた。
さらに、今回は人気メンバーの工藤遥の卒業記念曲でもあり、ファンの押し上げも強い。これらの要素が重なりあって、売り上げアップにつながったのだと思います」(前出の関係者)
Sexy Zoneはデビュー以来、CD売り上げに関するあの手この手のエピソードは少なくない。
2011年のデビュー曲『Sexy Zone』発売の際には、AKB48の大島優子、指原莉乃らのユニット『Not yet』に、やはりデイリーチャートで1位を取られ、緊急握手会を開催し、週間1位を獲得したこともあった。
「キスマイのメンバーやA.B.C-Z、ジャニーズJr.たちも動員しての大々的なものでした。接触イベントをほとんど行わないジャニーズタレントとしては異例のことで、多くのファンが足を運びました」(同)
その後、14年に発売された『君にHITOMEBORE』は、同じく連続1位記録を更新中だったミスチルと発売日がバッティング。そのためか、CD5タイプに加え、ポニカ(ミュージックカード)12タイプと、Sexy Zone SHOP盤なる豪華版が3タイプの計20タイプで発売し、33.6万枚を売り上げ1位を獲得。
「これに関しては、ファンもその売り方に首を傾げていました。“1位をとるために必死すぎる”と。今でも、チャートの数字を見ては“追い買い”しなければという状態が、ずっと続いている感じです。CDの購入に関しては疲弊しているファンも多いようです」
と、ジャニーズ事情に詳しい編集者が言う。
グループのおかれた環境も影響があるのではないかと、前出の編集者は分析する。
現在、“セクゾ渋滞”中……
「一時期、メンバーは5人いるのに中島健人、佐藤勝利、菊池風磨の3人を中心にして売り出した時期がありました。そのため、松島聡とマリウス葉が脱退するのでは、とファンは不安を抱き、レコード会社に抗議したようです。
それでもファンは、“5人が揃ってSexy Zone”という思いで、一生懸命応援してきたけど、これを機に、以前のような熱量で推せないという空気も出てきてしまった。そんな状況に振り回されながらも、彼ら5人での活動が再始動したんです」
またジャニーズ事務所は、Sexy Zone以降、12年デビューのA.B.C-Z、14年のジャニーズWESTがいるが、Sexy Zoneに続く世代の若手中心のグループのデビューは滞っている。
「V6から続いた、4年ごとにバレーボールのワールドカップ開催に合わせて新グループがデビューするという慣例も、15年にSexy Zoneが継続してナビゲーターをつとめ、結果的に次世代デビューを滞らせているような状態になっています。この状況を“セクゾ渋滞”と言うファンもいるようです」(同)
Sexy ZoneのCDは、かつてはJr.ファンも多く購入していた。
「初回特典としてつくMVのDVDに、大量のジャニーズJr.が出演するからです。彼らのファンの購入も見込まれました。でも最近は、この層の購入が見込めなくなった。そう考えると、セクゾもよく持ちこたえているという見方もできますが」
と言う。前出の芸能関係者は、今回の週間1位獲得についてこう分析する。
「初日にモー娘。に負けたことが、かえってよかったのかもしれませんね。そんな膠着した状況の中、特別なこともなく安定して売れ続けたわけですから」(芸能関係者)
もちろんモー娘。側も、オリコンウィークリーでの1位も射程に入る環境だっただけに、Sexy Zoneの存在が売り上げをより押し上げた可能性も高く、お互いが相乗効果を引き出した結果での売り上げと見ることもできる。
いっぽう、売り上げの指標がオリコンとは異なるビルボードチャートでは、モーニング娘。がSexy Zoneに大きな差をつけ、1位を獲得している。
オリコン連続1位記録死守という目標がある限り、今後もSexy Zoneの薄氷を踏む思いの戦いは続きそうな気配だ。
<取材・文/渋谷恭太郎>