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●見かけはよくあるポイントサービス

スターバックスコーヒージャパンは20日から「スターバックス リワード」と呼ばれるロイヤルティプログラムを開始した。特典内容を見ていくと、よくあるポイントサービスに思えるが、同社にとっては大きな意味を持つ。

○中身はよくあるポイントサービス?

スターバックス リワードは、商品購入によって付与される「Star」を集めると、様々な特典利用が行えるというものだ。グリーン、ゴールドと2段階制の会員ランクがあり、低位のグリーンでは、新商品の先行購入、コーヒーセミナーの先行予約、限定企画への応募ができたりする。上位のゴールドになると、ドリンクやフード、コーヒー豆など好きな1商品と交換できる「Reward eTicket」がもらえたりする。

この内容を見る限り、他のロイヤルティプログラムとさほど差はなく、目新しさはない。それでも、スターバックスには、大きな意味がある。同社が最も重視しているのは"つながり"だからだ。

○スタバの本質はファンビジネス

スターバックスは言うまでもなく、コーヒーショップである。だが、ファンに支えられたファンビジネスの側面もあるのだ。

たとえば、Twitter。フォロワーは約400万人もいる。新商品情報をつぶやけば、多数のファンがアクションを起こす。スターバックスのプリペイドカードとなるスターバックスカードの利用率も20%と非常に高い。スターバックスがいかにファンに支えられたコーヒーショップかがわかる。同社を支えるのは、ロイヤルティの高いファンの存在なのだ。

ファンが多数いるのは、創業以来、"つながり"を重視した経営を行ってきたからにほかならない。顧客、店舗近辺の地域、パートナー(従業員)など、スターバックスに関わる人たちとのつながりを大切にすることが、ビジネスの根幹にあるという考え方だ。

そして、この"つながり"をより広く、深くすることに今回の狙いがある。ロイヤルティプログラムをスタートさせることでひとりでも多くのお客をスターバックスのファンにする。その数が増えれば、増えるほど、データ活用という次のステップに活かせる。

●データ活用でより深く

○データ活用で何を目指すか

活用するデータは大きく分けて3つ。何を購入したかという「購買データ」、どの店舗で、いつ何時に購入したのか、はたまたソーシャルメディアでどういった行動を起こしたのかなどを知る「行動データ」、天候や気温を示す「環境データ」だ。より多くのデータを集めていくことで、商品開発やマーケティング、店舗開発、顧客サービスに活用していける。

これでは、スターバックスばかりにメリットがあるようにも思えるかもしれないが、そういうわけではない。一人ひとりの利用者の情報を分析することで、個々人の好みに応じたコミュニケーションを可能にするというのだ。

「Star」を集めて、特典が利用できるというのは、今回の取組みの表層に過ぎない。「スターバックス リワード」に参加することで、期待すべきは、今後、スターバックスがどういったアクションをとってくるのか、にある。スターバックスが求めるのは、お客とのより深い関係だ。多くの人にファンになってもらい、ファンの人にはもっとスターバックスを知ってもらう必要がある。そうした施策がこれからの特典内容にも反映されると思われる。利用者の立場から見ても、ビジネスの動向を見る立場からも、ファンビジネスを展開するスターバックスがどう動くのかが注目されるところだ。