プールで溺れた2歳の女の子が約2時間の呼吸停止状態によって脳に重い障害を受けました。奇跡的に命を取り留めた少女は、高圧・高濃度の酸素を取り込むという治療によって、脳の損傷が急激に回復して、自分の足で歩けるようになるまで回復するという奇跡を起こしています。

Scientists Reverse Brain Damage in Drowned U.S Toddler Eden Carlson

http://www.newsweek.com/eden-carlson-brain-damage-reversed-drowning-638628

A toddler's brain damage has been reversed after near drowning - NY Daily News

http://www.nydailynews.com/life-style/health/toddler-brain-damage-reversed-drowned-article-1.3338812

奇跡の少女エデンちゃんが事故から回復する様子は、ムービーで公開されています。

Eden's Story- A Miracle in the Making- Part 1 - YouTube

エデン・カールソンちゃん。



歌とダンスが大好きな2歳の女の子です。



おもちゃのワニに襲われているエデンちゃん。両親によると、創造力が豊かな女の子だとのこと。



すくすくと成長していたエデンちゃんでしたが、2016年2月29日に、子ども用の防護柵を乗り越え自宅のプールに入って溺れてしまい、10分から15分間、水中に沈んでしまいました。発見された時点では心肺停止状態だったとのこと。救急が駆けつけERに搬送されるまでに約2時間も呼吸停止状態が続きました。



2時間も呼吸停止状態にあったにもかかわらず、救急スタッフによる懸命の治療が実り、エデンちゃんは奇跡的に命を取り留めました。



命は助かったものの、腎臓、肝臓が機能せず、血圧も極めて低い状態で、脳に重い障害が残るという状況で打つ手がなかったとのこと。



生きられても2時間から48時間と見られていたエデンちゃんは……



両親の祈りが通じ、一命を取り留めることに成功しました。



1日目。低体温療法が施されました。



しかし、母親の呼びかけに反応するエデンちゃん。



峠だった最初の夜に多くの重要な身体の機能が回復に向かいました。一夜明けると、目をあけ足を動かしたとのこと。



3日目。体温が戻ってきました。



9日目。呼吸用のチューブが外れて自力で呼吸できるように。



うめき声をあげられるようになったエデンちゃん。



2016年3月27日のイースター(復活祭)を迎えることができました。



3歳の誕生日も迎えられました。



そして、顔のチューブはすべて取り払われるまで回復。



この時点でのエデンちゃんは、脳に大きな損傷があるものの、テレビを見たり、痛みを訴えたりすることはでき、手足をバタバタすることもできるようになりました。日々回復するエデンちゃんに対して唯一できる治療は、見守り続けることだけだったとのこと。



入院生活の終わりころのエデンちゃん。



5週間後、ようやく自宅に戻ってくることができました。



自宅に戻って3週間後、脳神経学の専門家であるポール・ハーチ博士の下で、「Hyperbaric oxygen therapy(HBO:高圧酸素治療)」が行われることになりました。



たった2回のHBO治療の後で、エデンちゃんは手を動かせるように。



2日に1回のペースで高濃度の酸素を吸入するHBO治療で、ムービーを見て笑みを浮かべられるまでに回復しました。



両親の「エデンちゃんが以前と同じように回復すると固く信じている」というコメントで、最初のムービーが終わっています。



その後のエデンちゃんの回復ぶりを伝えるムービー第2弾が2017年7月19日に公開されました。

Eden's Story- A Miracle in the Making- Part 2 - YouTube

最初のムービーでは公開されていなかった、ERでの治療の様子が映し出されています。



2016年5月3日。HBO治療を受け始めて2週間弱で、スマートフォンに映る自分の昔の映像に反応できるようになったエデンちゃん。



5月4日。事故が起こってから初めて笑うことができました。



5月10日、「パパ」という単語が口から出ます。



同じ日に、細いスナック菓子に噛みついて食べることにも成功。



5月12日。辺りを見渡し、周囲の状況への反応が増えました。



5月13日。周りにあるおもちゃに手を伸ばすことに成功。



「Flag(旗)」という単語を口にできました。



5月14日。食べられるものも増えてきました。



5月17日。LSU Health New Orleansでハーチ博士のチェックを受ける日。



テストに泣いてしまったエデンちゃんですが、極めて良好な結果が得られました。



5月18日。エデンちゃんは、昔の記憶を取り戻し始めました。両親から動物の鳴き声を尋ねられると、教えられていないにもかかわらず、鳴き声を真似ることができました。



5月26日。座って食べられるように。



6月3日。Facetimeで話すパパにキスをするエデンちゃん。



6月5日。初めて自分の足で立つことに成功。



すぐに倒れてしまいますが、笑顔がはじけます。



6月6日。本格的な歩行トレーニングが始まると、大泣きするエデンちゃん。厳しいリハビリが始まります。



6月7日。座りながらボール遊びができるように。



立てる時間も長くなってきました。



タオルの上を、ハイハイすることにも成功。



6月9日。パズルに挑戦。



これは、おもちゃを使ったトレーニング。



バスケットボールのシュートもできるようになりました。



6月9日。歩行練習。



いろんな器具を使って歩く練習をするエデンちゃん。



6月10日。ものの形や色を思い出し始めました。



「星はどれ?そうだね、それが星だね」と話しかけるお父さんの声も弾んでいます。



話す能力も日増しに高まります。



枕の数を上手に数えられました。



ハイハイしたり、おもちゃをつかんだりと行動範囲も増えていきます。



そして、豊かだった創造力も戻ってきました。



以前のように、お母さんにいたずらするエデンちゃん。



6月11日。おもちゃで遊ぶスキルもどんどん上がっています。



6月12日には、パッケージタイプのソースを積み木のように積み上げることができました。



塗り絵もできるように。



6月16日。立ち遊びで物をつかむ練習。



おもちゃを手渡すことができました。



6月20日。ついに、第一歩を踏み出すことに成功。



一歩目が出たエデンちゃんは、手押し車を力強く押し始めました。



「楽しいわ」



ついには「Go、Go!」と連呼しながら、どんどんと歩けるようになりました。



7月1日。水族館に来たエデンちゃんは、「ニモ」や「ドリー」を探しています。



7月2日。お気に入りのリトルマーメイドの歌を口ずさむエデンちゃん。



蛙跳びもできるように。



お父さんと一緒に歩く練習。



まだ独りで立つことはできませんが、日増しに体力がついてきている模様。



7月4日。歯みがきすることができました。



7月7日。わずかな支えだけで、自分で立てるように。



7月12日。ソファによじ登れるようになりました。



7月17日。ハーチ博士による最後の治療の日。この日は40回目のHBO治療の日でした。



方向転換できるようになりました。



ハーチ博士に「バイバイ」して、エデンちゃんはHBO治療を終えました。



7月19日。再び自宅に戻って大興奮のエデンちゃん。



「歩いているよ!パパ」「うん!歩いてるね!」



7月28日。小さなおもちゃで遊べるほど、手をうまく使えるようになりました。



7月31日。誰にも助けてもらうことなく、立ち遊びをするエデンちゃん。



かがんだ状態から……



一人で立つこともできました。



8月1日。歩行練習。



歩行機を使って上手に歩くエデンちゃんは、リトルマーメイドの歌の練習も同時に行っているようです。



8月8日。2度目の公園デビュー。



脳に重い損傷を受け、「二度と歩いたり、話したり、食べたり、遊んだりできない」と言われた女の子は、ここまで回復することに成功しました。



ムービーは2016年8月8日までで終わり。近い将来、さらに成長したエデンちゃんのムービーが公開されるかもしれません。

脳に損傷を受けたエデンちゃんは高圧高濃度の酸素に触れるHBO治療によって、脳の損傷部分が急激に回復したことがMRI検査から判明しています。成長期の柔軟な脳が機能を回復した貴重な例として、今後の幼児の脳障害における有効な治療法としてハーチ博士の研究成果は大きな注目を集めています。