10日、日本代表はイラン・テヘラン郊外で冒頭15分間だけを公開としたトレーニングを行った。山口蛍は前日に引き続き練習場に現れず、また長友佑都は姿を見せたものの、公開された部分では別メニューとなっていた。

その一方で、今野泰幸はフルメニューをこなしている。ヴァイッド・ハリルホジッチ監督がメンバー発表時点でまだ回復していなかった今野をあえて招集した意味を、今野はシリア戦で証明し同点ゴールまで叩き込んで見せた。

その今野の代役の1人として今回招集されていたのが加藤恒平だった。ハリルホジッチ監督は「彼はボールを奪う人という役割」と1年間かけて追跡した分析結果を明らかにし、「今野がどうなるか分かりませんからね。もしかしたらこのような選手(加藤)が必要になってくるかも」「奪うところでアグレッシブさを持って戦えるという人間は彼」と述べていた。

今野が回復途中であることは間違いなく、フル出場できるとは限らない。監督はそんなケースも想定したのだろう。シリア戦では63分、今野を下げ浅野拓磨を投入した。そして今野のポジションには本田圭佑をコンバートしたのだ。

このコンバートは成功し、日本はさらに攻撃的にシフトチェンジできた。だが一方でイラク戦ではリードして最後に守備に回ることも考えられる。その際に加藤が急に投入される可能性は残っている。ハリルホジッチ監督はホーム・UAE戦で大島僚太を日本代表初出場、初先発させたことがあるのだ。

加藤の現在の心境はどうか。

「暑いので今日の練習はきつかったけれど、慣れていくと思うので心配していません」

「スパイクのポイントが刺さらない場所でプレーしたこともあるので、ピッチの悪さは問題ありません。環境は僕にとっていいほうです」

「シリア戦もそうですし、僕自身しっかり準備していました。それが変わることはないので今までどおりしっかりやるだけですし、シリア戦で出られなかったのは単純に実力不足で、もう一度しっかりトレーニングからアピールしていなかければいけないと思います」

「日本代表は施設やオーガナイズがすごくしっかりしていて、そこはすごいと思いますけど、逆にそれに慣れてはいけないというか、自分を見失わないように、これが当たり前だと思わないでやっていかなければいけないと思います」

「もちろん今は(日本代表の中で)一番下だと思います。客観的に見てもそうですし。ただ、追いつけないレベルかといえばそうでもないと思います。そこは自分次第なので今は一番下ですけど、そこからスタメンになるつもりで僕はやってますし、そのためにサッカーをやっているので、その気持ちは絶対誰にも負けないので、誰よりも練習して、いつかその座をつかみたいです」

謙虚だが野望は捨てていない。今のライバルが本田だとしても加藤は挫けてはいない。

【日本蹴球合同会社/森雅史】