CBS MarketWatchによると、米医薬品大手のカイロンは27日、第2四半期(4-6月)決算を発表した。それによると、インフルエンザ・ワクチン製造工場の汚染問題で、閉鎖された工場の管理・清掃費用や訴訟費用の合計が2700万ドル(約30億4000万円)に膨らんだことから、最終利益は前年同期の2300万ドル(約25億9200万円)から99.8%減の4万9000ドル(約550万円、1株当たり1セント未満)となり、市場予想の1株当たり16セントを大幅に下回った。

  また、特別項目を除いた実質ベースの最終利益は1株当たり8セントだった。売上高は、同10%増の4億1900万ドルとなり、市場予想の4億2000万ドルをやや下回った。

  インフルエンザ・ワクチン「フルーヴィリン」を製造している同社の英リバプール工場は昨年10月、製造過程に汚染が見つかったとして英当局により閉鎖されている。また、ドイツのワクチン製造工場でも汚染の疑いがあるとされており、同工場の在庫処理のため、1500万ドル(約16億9000万円)の損金処理を行ったとしている。同社はこれを受けて、今シーズン(2005−2006年)の同ワクチンの生産を見送るとしている。

  同社は、米英両当局に対して、英工場の再開を強く働きかけているが、現時点では再開が許可されていない。同社は英工場の閉鎖により、2005年通期の業績に影響が生じるとしているが、前年との比較が可能な継続事業ベースの利益見通しを1株当たり86セント−1.11ドルと据え置いた。同社の株価は米ナスダック市場で27日、前日比0.91%安の36.08ドルで引けた。【了】