「ひよっこ」20話「こんないい人いない!」の連続

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連続テレビ小説「ひよっこ」(NHK 総合 月〜土 朝8時〜、BSプレミアム 月〜土 あさ7時30分〜)第4週「旅立ちのとき」第20回 4月25日(火)放送より。 
脚本:岡田惠和 演出:黒崎博  


20話はこんな話


みね子(有村架純)は東京に働きに行く決意をしたものの、肝心の就職先がなかった・・・。

つまんねえ人間なんてどこにもいねえよ


正月早々、「くまが出てこれはくまった、なんてな」とベタなダジャレを言って、奥さん(しずちゃん)が全然笑ってくれない、とぼやく宗男(峯田和伸)。まあ仕方ない。
古いラジオを出してきて、イギリスで大人気のビートルズをみね子にすすめる。
若者と語り合いたかったと言うが、じつは、東京に行くと思いつめるみね子を励ましたかったようだ。
「せっかく行くんだし、若いんだし、あんまり背負ってばかりじゃなくて、自由に生きろって言うんだ」
優しいおじさんにみね子は真面目に返す。
「自由ってなに? 私は、やることが目の前にあって、それを一生懸命やるのが好きだよ」と。
そんなふうに考えてしまう自分を「つまんない」と謙遜するみね子に
「つまんねえ人間なんてどこにもいねえよ」と宗男。いいひとだなあ。
でも、「自由」を知らなければ、それはそれで幸せなのかも。

「なんでもいいとか言うんでねえ」


もうひとり、いいひとがいた。流行りのギャグ担当かと思っていた田神先生(津田寛治)だ。
東京に行く気満々だったが、就職先のないみね子が慌てて、なんでもいい、どんな仕事でもいいと先生にすがりつくと、「ふざけんな」と怒り、「なんでもいいとかどんな仕事でもいいとか そんな仕事をおめえに紹介するわけにはいかねえんだよ」と男前なところを見せる。

「つまんねえ人間なんてどこにもいねえよ」という宗男
「なんでもいいとか言うんでねえ」という田神。
どちらも、自己評価の低いみね子を心配しているのだ。

時子(佐久間由衣)は時子で、職がなかったら譲ると言い出す。なんて麗しい友情〜〜

「ひよっこ」の登場人物、いい人過ぎる!! こんな人たち、いまどき、いない!!
これまでの朝ドラでは、「こんな人いない!」という場合、たいていは倫理観や道徳観や常識の欠如に対しての文句であった。だが、今回の「こんな人いない!」は、「こんないい人、いない!」だから文句の言いようがない。讃えるしかない。

ダークヒーローやイヤミスが流行る世の中で、意地悪なところがひとかけらもない人達の話は新鮮。このドラマを観て、優しい気遣いができる人が増えるといいなあと思う。祈りのドラマですよ、これ。

みね子の想像力


「馬鹿さ加減と考えの甘さが情けねえです」と反省するみね子だが、想像力は豊かなようで。
ビートルズがカブトムシと聞いて、カブトムシのかっこうで演奏する4人のポップな宗男を想像して「なんかかわいいね」と微笑むみね子がかわいい。
「なんかこわいね、くまよりこわいの?」というセリフのイントネーションもかわいかった。

ほうきをギター代わりに演奏の真似をする宗男。さすが、ミュージシャン峯田和伸、はまってる。
翌1966年にビートルズが来日したら、
「宗男さんはいったいどうなってしまうんでしょうね」というナレーション(増田明美)。
まさか、宗男も東京に来て、東京編は音楽ものに?  
みね子が70年代ファッションでミニスカはいたりするようになったりして? 
有村架純は足が細長いから似合うとは思うが。
みね子はいったいどうなってしまうんでしょうね。
(木俣冬)