高知県立高知工業高等学校(高知)
■トンボやネットは手作り高知県立高知工業高等学校は、高知市にある工業高校。1912年創立で100年以上の歴史を持つ。現在の野球部の部員数は1年生9人(マネージャー1人含む)、2年生12人。平日にグラウンドを使えるのは木金だけで、土日も午前は使えない。練習量は朝練とスペースを必要としないウエイトやティーバッティング、素振りで補っている。また、工業高校らしくネットやトンボを各科で修理したり作ったりしているという。
新チームは真面目で素直。試合では、1球1球に盛り上がって声で圧倒し、団結力で戦う。この冬は全員の体重が身長ー100になること、パワーアップ、守備力の強化、心を1回りも2回りも大きく強くすることを目標に、300mを1分で走りきるランメニュー(全員が目標タイムを切れなければ1本にカウントされないため、全員が助け合い、声を掛け合って協力しないと終わらない。その時その時に変化するインターバルや目標タイムに対応しながら10本程度走る)などに取り組む。
■考える野球でベスト8高知工がテーマに掲げるのは「考える野球」。小松 龍矢主将は「普段の練習から自分達にとって今どういう練習が必要なのか話し合い、自分達で練習メニューを先生に提案するように心がけています。場面設定をしたシート打撃では、自分達で作戦を考えて、攻撃をします。例えばノーアウト一塁では、とにかくランナーを進めるためにはどうしたら良いのかを考えて自分のできると思った攻撃をそれぞれが行っています。野球のセオリーにとらわれずに自分達で考えて攻撃や練習をするのが高知工業です」と話し、昨秋はベスト8に進出した。
出塁率の高い宮本 栄希は1番打者の役割を全うし、西川 義樹は打順は下位ながら高知西戦と高知農業戦とチャンスを全てものにして打点をあげ、打率6割。四死球があったものの丁寧な投球が光る久保 智哉は明徳義塾相手にも臆することなく投げ込み、高知農業戦では初回に先制の適時三塁打を放つなど投打に活躍した。
■明徳義塾戦のコールド負けを糧にただ、準々決勝で戦った明徳義塾戦では7回コールド負けを喫した。小松主将は勝ち上がったそれまでの試合よりも、この一戦が最も印象に残っているという。
「この試合は、秋季四国大会を制した明徳と試合をして、自分たちのミスで負けてしまいました。公式戦で初めて明徳と試合をして、とても緊張して自分達のプレーができずに自分達の甘さを痛感した試合でした。しかし、硬くなってエラーが重なり負けてしまいましたが、自分達でもなんとかなると実感した試合でした。明徳と試合をして見えた課題は、守備とメンタルです。いくらピッチャーが良い投球をしても、エラー絡みで失点してしまいました。冬では、アウトにして当たり前の打球を当たり前に捌けるように練習しています。また攻撃では、明徳の雰囲気に押されてチャンスで自分達の攻撃ができませんでしたので、どんな状況でも揺るがないメンタルを作っていこうと思って挑戦しています」
小松主将、島崎 習平副主将が考える春のキーマンは久保、野々村 遼、ストイックに自分を追い込み1ヶ月でベンチプレスのMAXを7.5kgアップさせた4番を打つ島崎副主将、道倉 凌だ。目指すのは春に優勝して四国大会、夏も優勝して甲子園。
高い目標を掲げた小松主将は「僕らにとって最後の冬はとことんキツイ冬にして悔いの無いようにしたいです。先輩が言っていた「結果をどうこう言うのは、3年間を全力で野球に捧げてからにしろ」という言葉を胸に頑張りたいです。自分にもチームにも厳しく、つらいことは全員で乗り越えて、春には自分達の進化した姿を見せたいと思っています」と決意表明した後、「今回は、取材して下さって、ありがとうございました」との言葉が続いた。考える野球で戦う高知工、相手の気持ちを考えることが出来ている。
バカ真面目に、必死になって野球をするここからは、小松 義和副主将、笹岡 周副主将にお話を伺います。
小松 義和選手(高知工)
Q. 秋に見つかった課題は何でしたか?
小松:基本的に見て捕ることやキャッチボールミスが多いことです。野球をまだわかっていなくて、自分で考えて動くことができていなかったところです。笹岡:基本的な守備、大事な場面でのメンタルです。個人的には逆方向に打つ徹底と外野の送球です。
Q. この冬はどんな冬にしたいですか?
小松:1日1日を大切にしていきたいです。きついことを繰り返し行う。冬練の中で常に変化して毎日少しずつでもパワーをつけます。技術を身に付ける努力をしながら妥協は許さず、自分自身に勝っていきます。チームメイトと助け合いながら、競い合ってチームの結束も高めていきます。笹岡:春を迎えたときに、自分達はここまでやってきたから大丈夫と自信を持って言えるような冬にしたいです。
笹岡 周選手(高知工)
Q. モットーにしていることや好きな言葉は何ですか?
小松:「弱気は最大の敵」です。自分は小学生のときからミスのことばかり考えてきて、ずっと弱気だったけど、ネガティブな考えからはネガティブな結果しか起こらない。常に強気で責めていけばそれなりの結果がついてくるということをいつも心がけています。笹岡:「千射万箭」です。
Q. 他のチームに負けないチームの特徴はどんなところですか?
小松:このチームは真面目をテーマにしていて、皆がバカ真面目に必死になって野球をして、普段の学校生活でも手を抜かずに真面目にやるところは他のチームに負けていないと思います。好きなところは、ここぞというときに皆が一致団結して盛り上がっていくところです。笹岡:初回のテンションや1球のベンチの盛り上がりと凡打したときのベンチへの帰り方です。
Q. この冬の目標宣言をお願いします。
小松:自分は秋季大会に出られずに終わったんですけど、その悔しさをバネに、この冬で体重も増やしてパワーもつけて技術も磨いていきたいと思います。そのために春、自分がグランドでプレーする姿をイメージして、この冬を1日1日妥協せず、これでもかというぐらい追い込んでいきたいです。笹岡:秋は下位打順だったので、上位を任されるようなバッターになります。自分の狙ったところに百発百中投げられるようなセンターになります。
小松副主将、笹岡副主将ありがとうございました。
練習風景(高知工)常にできる、勝てるイメージを持つ最後に高橋 司監督にもお話を伺いました。
Q. 新チームのチーム作りはどんなテーマで行いましたか?この冬のテーマも教えて下さい。
昨年1年間ノーサインで戦ってきた前チームの良いところを引き継ぎ、適宜サインも駆使しながら、ノーサイン野球とサイン野球の融合が大きなテーマでスタートしました。しかしながら、前チームの人数が多かったために現チームの選手たちの試合経験が乏しく、秋季大会には自信のないまま臨む形となりました。しかし、不安定ながら準々決勝で明徳さんと戦えたことは彼らにとって大きな財産となりました。
この冬では、まず更なるパワーアップ・守備力の向上・走塁技術を上げながら、野球を知るというテーマで取り組んでいます。真面目で信頼できる選手が多いですが、心まで優しく勝負弱いという側面を鍛えて、「真面目で強い選手」を育てていきたいと考えています。
Q. 冬のトレーニングに励む選手達にメッセージをお願いします。
自ら考え行動できる人間になるために、常にできる、勝てるイメージを持ち、決してネガティブな思考に陥ることなく、仲間と励ましあって乗り越えて欲しい。グランドに恵まれていないからこそ良かったと言えるような練習を行い、グランドが使えることに感謝しながら、誰しも平等である時間をできる限り有効に使って、自分を信じる力を身に付けて欲しい。
一生懸命努力するのは当たり前。真面目で信頼できるだけではなく、強い負けない人間に成長して欲しいと願っている。そして、進路実現しながら甲子園を目指せるのは「高知工業」と評価していただけるようなチームにしていこう。
高橋監督、高知工業野球部の皆さんありがとうございました。春は明徳義塾へのリベンジを期待しています。
今年も大好評!【冬が僕らを強くする 特設ページ】各チームのページ下部にあるフォトギャラリーもお見逃しなく!