相模原ベースボールクラブ「『高校で活躍する』ため、確固たるポリシーを貫く」
神奈川県中学野球特集の第7回は、相模原ベースボールクラブを紹介!
2017年で創立10周年を迎えたヤングリーグ所属・相模原ベースボールクラブ(神奈川)。試合ができる広さのグラウンドともう一つグラウンドを持ち、恵まれた環境で練習を積んでいる。ヤングリーグの全国大会には7回出場、昨年は春季関東大会を制し、力を付けてきている。3月4日(土)・5日(日)に8チームが参加して開催される「第5回DeNAベイスターズカップ〜2017年神奈川県中学硬式野球選手権大会〜」には2年連続、2回目の出場。今回は沼田 明幸代表、塙 栄一コーチ、そして大城 翼監督と選手の皆さんにお話を伺った。
沼田 明幸代表(相模原ベースボールクラブ)
小田急線・相模大野駅からバスで15分ほどの場所にある相模原ベースボールクラブのグラウンド。そこには野球を思う存分できる環境が整っている。バッティングゲージ、マシン、照明が完備され、夜間練習も十二分に可能。さらに、チームはもう1つ「相模原米軍基地デポ球場」という、試合を行うことができるグラウンドを持っており、充実した環境で練習を行っている。現在は火曜日と木曜日の週2回の練習でレベルアップに励むチームのモットーは「文武両道」。これには3つの意味が込められている。
1つ目は「自分で考え、自分から積極的に行動する選手を育成する」
これにはこのチームのGMである竹内 一郎GMの経験と深く関係している。竹内GMはボーイズリーグ湘南クラブの創設者。そしてその後羽黒高校(山形)の監督として甲子園出場を果たした一連の経験で「言うとすごくやるんだけど、言われないとできない、指示待ちの選手が多い」ことを痛感。これが「自分で考え、自分で行動する」ポリシーにつながっている。
「自分で考え、自分で行動する」は選手だけに向けられたものではない。沼田 明幸代表は「『俺の言うことだけ聞いていればいいんだ!』という指導をすると中学生の成長は早い。でもそういう3年間を過ごしていると指示待ちの体質になってしまう。だから、コーチにも辛抱が必要なんですよ」と言って笑顔を見せた。
2つ目は「学習指導を重視し、希望校に進学し甲子園を目指す選手を支援する」
相模原ベースボールクラブは火曜日と木曜日に練習を行っているが、それと並行して選手たちに90分の公文式のようなスタイルの授業を本格的に教えている。「文武両道というのは、今はどこのチームでもやっています。今は勉強ができないと有力校には進めません。もちろん学校の授業が大切ですが、それだけでは足りなくて、塾に行く生徒がいっぱいいますから。塾に行かなくても希望校に進めるような状態にしてやりたい」。沼田代表は力を込めて話してくれた。
3つ目は「人を頼らない」
相模原ベースボールクラブでは野球用具の管理や、練習中の飲料水等の準備は選手自身が行っている。さらに他のチームと大きく違うのは「父母会」が存在しないこと。したがって「お父さんコーチ」がいないのだ。沼田代表はここに至った理由をこう説明してくれた。「確かに意欲もあり、野球経歴的にも申し分ないお父さんもいるんです。でも、実際にコーチにすると、どうしても親子関係が出てくる。なので、そういったお父さんには『息子さんの中学野球が終わった後にコーチになってください』と頼んで、現実にそうなっているコーチもいます」
最終目標は「高校で活躍する」こと練習風景(相模原ベースボールクラブ)現在、相模原ベースボールクラブの指導者は監督含め9名。近年では、コーチが選手と一緒に「持ち上がる」制度で3年間を指導している。よって選手たちはより指導者へ信頼を寄せ、コーチも選手たちの性格や体格、体質もわかっているので指導がしやすい。その好循環によりけが人も減少。1か月ボールを握れないというような状況もなくなった。1年・2年・3年チームを統括する立場の大城 翼監督も「各学年ごとにコーチがいて、毎年毎年チームの色が違う。今は自分自身もうまくやれているし、いいチームだと思います」と手ごたえを語る。
よって成績も確実に上がっている。2007年の創立後、これまでヤングリーグ全国大会には7回出場。昨年は神奈川代表として春季全国大会、選手権(全国大会)、ジュニア選手権大会のヤングリーグ全国3大会に出場し、春季関東大会を制覇。全国にも「相模原ベースボールクラブ」の名を轟かせることができた。
ただ、チームの最終目標は全国制覇ではない。「選手は監督やコーチの駒ではありません。1から10までやらせてしまった方が大会を勝つというところでは近道なのかもしれません。しかし、最終ターゲットは彼らを高校でいかに活躍させるかという部分。技術的にどうしてもおかしいところは指導しますけど、それを自分たちで考えて、弱点克服するにはどうしたらいいか考えさせるというところに気を付けています」
今年のチームを1年生から見てきている塙 栄一コーチら指導陣は目的を「高校野球で活躍する」にしっかり定めている。
先輩の1勝を超え、考える野球で頂点へ左から 内山 優志選手、藤原 豊選手、田中 雄悟投手、細貝 宥介選手、皆川 楓真選手(相模原ベースボールクラブ)今年のチームを「全体的に目立った選手はいません。逆にそれなりに高い次元で力を持っているということなので、普通はレギュラーと控えで別れてしまうのですが、個々の役割を把握していますし、非常に実践向きのチームに仕上がっています。」と塙コーチは自己分析。
事実、内山 優志主将を中心に結束力は高い。田中 雄悟投手は失点が計算できる左腕。そして「最終回を任せる信頼をしている」という抑えの皆川 楓真投手。打者では1年生から4番を任されていて、プレッシャーに強い藤原 豊選手、走攻守3拍子揃っていて、チームのムードメーカー的存在の細貝 宥介選手が注目選手。昨年はベイスターズカップ初出場でヤングリーグとして大会初勝利もあげ3位。内山主将は「去年は3位で終わったので、先輩の記録を超えて優勝したい!」とさらなる高みを目指している。
そして大城監督は横浜スタジアムで数多くプレーする効果を語った。「去年、はじめて横浜スタジアムでプレーさせて頂いたことで、選手たちの輝きも違った。いい経験ができたと思っています。今年のチームは考えて動けるし、キャプテン中心にうまくまとまっています。去年は1勝できたので、今年は自分たちの力を発揮したい。優勝までは言わないですけど、1戦1戦を大事にして。ヤングリーグ代表なので、しっかりやりたいと思います」
神奈川県高校野球の聖地、横浜スタジアムで活躍するための登竜門として、相模原ベースボールクラブは、考える野球と元気を前面に出して先輩たちを超え、DeNAベイスターズカップの頂点を目指す。
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