日本で誕生した「洋食」の定番、オムライス。老若男女に愛されるオムライスがいつ、どこで生まれたのかをご存じでしょうか。

オムライスの歴史が始まったのは、大阪にある「北極星心斎橋本店」。1922年に創業した洋食店の草分け的存在で、料亭と見まがうような外観が印象的です。

オムライスが生まれたのは、北極星が創業して間もない1925年のことでした。

胃の具合の悪い常連客がいつも白いご飯とオムレツを食べていたところ、「いつも同じものでは」と見かねた店主が、タマネギを炒めてケチャップライスを作り、それを薄焼き卵で包んだものを特製メニューとして出したのです。

驚いたお客さんに「これ、何ちゅう料理や?」と尋ねられた店主はとっさに、『いつものオムレツとライス、これをくっつけた「オムライス」でんな。』と答えました。オムライスは、お客さんを想う北極星店主の心配りから生まれた創作料理だったのです。

引き戸を開けて店内に入ると、中庭を配した趣のある空間が広がっています。

日本庭園を臨む畳敷きの部屋でオムライス。意外な組み合わせですが、なんだか粋ですね。

風情あふれる空間ながら、人気ナンバーワンのベーシックなチキンオムライスは780円。さすが安ウマグルメの聖地・大阪。老舗の名店といえど、リーズナブルな価格には感動です。

さぁ、オムライスの歴史を作った北極星自慢のオムライスがやってきました。

洋食店で料理が黒いお皿で提供されるのは珍しいですね。これにはわけがあって、卵の黄色とソースの赤を引き立てるために、あえて黒いお皿を選んでいるのだそうです。

一見シンプルなこの一皿には、北極星ならではのたくさんのこだわりが詰まっています。

ご飯は、粘り気を抑えたオムライスに最適なブレンド米を少し固めに炊き上げたものを使用。卵そのもののおいしさを楽しんでもらおうと、卵は一切味付けしていません。

最後まで飽きずに食べられるよう、ケチャップライスは薄味に。そして、食べ進めるほどに甘みが感じられる、酸味を抑えたトマトソ―スがたっぷりかかっています。

オムライスの横に添えられているのは、甘酢生姜。食欲増進や身体を温める効果がある甘酢生姜は箸休めに最適と、昭和初期から採用されています。

熟練した料理人しか巻かせないというオムライスだけあって、驚くべきは卵。ケチャップライスを包む卵は、型崩れすることなくライスが包める固さでありながら、裏側はとろとろの半熟。この薄さでこんな芸当ができるとは・・・!

まろやかな卵と、あっさりした優しい味のケチャップライス、甘みと酸味のバランスのとれたトマトソースが一体となったおいしさは格別。さらに、適度な固さの鶏肉の歯ごたえが楽しめ、飽きのこない味わいです。

数寄屋風の情緒ある和風建築で楽しむ、元祖オムライス。多くの有名人にも愛されてきた名店の味をぜひご賞味あれ。

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お店 北極星心斎橋本店
住所 大阪市中央区西心斎橋2-7-27
営業時間 11:30-22:00(土日祝 11:00〜)
http://hokkyokusei.jp/index.html