スペインの首都・マドリッド。

1度目はマドリッド市内のお洒落なカフェを訪れたり、美味しいキノコ料理を味わったり、マドリッド市民の悲願の大聖堂を楽しんだり、はたまたマドリッドの人達がこよなく愛するB級グルメを味わったり、マドリッドをたっぷりと楽しむ、というのが初めてのマドリッド旅行かもしれません。

もちろん、時間に余裕がある方は、マドリッドを拠点にして、ちょっと足を伸ばして、かつての都トレドや巨大な水道橋が有名なセゴビアを巡って旅を楽しんでいる方もいらっしゃるかもしれません。

今回はそんなマドリッドをすでにご存知な方にも、オススメなエクスカーションの街チンチョン(Chinchón)をご紹介しましょう。

あまり聞いた事が無いチンチョン(Chinchón)という町は、マドリッドの市内から南東に44キロ、バスで50分ほどの場所にあります。

チンチョン(Chinchón)への行き方は少々難しいので、詳しく説明したいと思います。

地下鉄6番線のコンデ・デ・カサル(Conde de Casal)からラ・ヴェロス(La Veloz)のバス337に乗ります。平日なら30分おきにバスは走っています。

時刻表はこちら>>
http://www.redtransporte.com/madrid/autobuses-interurbanos/337-madrid-rivas-vaciamadrid-valdelaguna.html

注意しなければいけないのは、チンチョンは終点ではありません。

バスに乗車してから45分過ぎたあたりから、バスの前方にある電光掲示板を見ましょう。

「Proxima Parada:Chinchón-Convento」(次の停留所:チンチョン-修道院)と出たら、黄色のストップボタンを押しましょう。
※チンチョンまで45分より早く着くことはまずありませんが心配なら、運転手の方に一声「チンチョン(Chinchón)」とつたえておきましょう。

チンチョンの町でまず旅人を迎えてくれるのは、16世紀に5代目チンチョン伯爵の命によって造られた、ラス・クラリサス修道院(Convento de Las Clarisas)。

この修道院の入口前がバスの停留所になっています。


修道院の前はロータリーになっていて、渡るとRotonda del Conventoというバル・レストランがあります。

通りの名前Calle de Los Huertosを見つけたら、そのまま進んでいきましょう。

5分ほど歩くと、町の中心、マヨール広場(Plaza Mayor)に到着です。

マヨール広場の手前には、4つ星の国営ホテル、パラドールがあります。

もしこの町が気に入ったのなら、こちらに宿泊するのもオススメです。

実はこのパラドール、元は15世紀の聖アグスティン修道院(Convento de San Agustín)でした。

18世紀、19世紀に修復され、1982年からパラドールとして使用されています。

パラドールのパティオでは、気軽にお茶やビールなどが楽しめます。

ちょっと宿泊はできないけれど、パラドールの雰囲気を楽しみたい、という方にも気軽に利用できるのが嬉しいポイント。

小さな町ですがオシャレで可愛い雑貨店や民芸品のお店もあるため、お土産もゲットする事ができます。


町歩きを楽しみながら、パラドールの正面の坂道(Calle del Convento)を上って、チンチョンのお城跡を見てみましょう。

チンチョンのお城の歴史は16世紀まで遡ります。

時の王様、スペイン・ハプスブルグ家初代のカルロス1世王は、同時にローマ皇帝カルロス5世でもあり、領土を広げるために農民、市民に重い税をかけます。

その圧政に堪え兼ねた民衆によって一揆が勃発。

民衆の大規模な蜂起によって王の城は崩壊し、その城跡にチンチョン伯爵3代目のディエゴ・フェルナンデス・デ・カブレラ・イ・メンドッサ(Diego Fernández de Cabrera y Mendoza)が宮殿を造りました。

以降、この宮殿は伯爵たちの城(Castillo de Los Condes)と呼ばれ、伯爵夫人が薬草による解熱薬の研究を続けたことが知られています。

200年間使用されたチンチョン伯爵の宮殿は、スペイン継承戦争の勃発のために放置されることになります。

以後、伯爵がこの城に戻ることはなく、今の姿となりました。

お城からの景色を楽しんだのなら、町の中心、マヨール広場に戻ってみましょう。




観光インフォメーションはマヨール広場にあります。

何か困った事があったら、インフォメーションで教えてもらいましょう。もちろん日帰りする方は帰りのバスの時間などもお忘れなく。

マヨール広場を臨む建物は全て3階建て。

これらの建物は15世紀に造られ、全部でなんと234のバルコニーがあります。

木製のバルコニーはどことなく日本の建築のようにも感じる事ができるかもしれません。


広場の奥にはヌエストラ・セニョーラ・デ・アスンシオン教会(Iglesia de Nuestra Señora de la Asunción)があります。

この教会、1534年から建設をスタートし、チンチョン伯爵の援助により1626年に完成しました。

この教会には悲しい歴史もあります。

フランスとの独立戦争を戦っていたスペインが、1808年5月2日にこのマヨール広場で二人のフランス人を処刑します。

その報復としてフランス軍はチンチョン市民86人を処刑し、町の歴史的建物であるヌエストラ・セニョーラ・デ・アスンシオン教会に火をつけました。

現在の教会は19世紀初頭に建て直され、中にはゴヤの絵も飾られています。

広場の後ろに見える時計の塔(Torre del Reloj)にも悲しい戦争の歴史が残されています。

この時計の塔の正式な名前は、「消え失せたヌエストラ・セニョーラ・デ・グラシア教会の塔」(Torre de la desaparecida iglesia de N.ª S.ª de Gracia)といい、消え失せた教会の方は、やはりフランス軍に焼かれています。

一通りの町歩きが終わったら、穏やかな日差しの中で、チンチョンの地酒であるアニス酒や、パンを楽しむのもいいかもしれません。



マヨール広場の建物の下の階の多くはバルで、2階3階はレストランであったり、住居であったりします。

大人たちがテラスでグラスを傾けている間、子供たちはロバに乗って大喜びですね。観光電車も待機しています。

バルコニーに上がって、アニス酒を傾けながら、チンチョン名物の牛肉の炭火焼きを味わうのもオススメです。



いかがですか?

もしスペイン・マドリッドへの旅をよりいっそう楽しみたいのなら、マドリッドからお出かけできる、素敵な町チンチョンを訪れてみてはいかがでしょうか?

きっとスペインの想い出の1ページを彩ってくれる、素敵な旅を楽しめるに違いありません。

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