智辯学園高等学校 太田 英毅選手 「目指すはセンバツ二連覇!」
27日の選抜出場校発表で、出場が決まれば、大会2連覇に期待がかかる智辯学園。チームの中心選手として活躍をみせるのが、3番・太田 英毅だ。1年秋からレギュラーの座を獲得し、昨年の選抜では主力打者として優勝に貢献。昨夏の甲子園では出雲戦(試合レポート)で豪快な本塁打を放った。今回は、今年のドラフト候補として注目される太田選手にインタビュー!
得意の三盗はいつのまにかできるようになっていた太田 英毅選手(智辯学園高等学校)
走攻守、プレーの一つ一つにセンスが光る万能タイプのミドルヒッターは、小学生の頃から智辯学園のユニフォームに憧れていた。 2011年の夏、3回戦で横浜と対戦した智辯学園は、3点ビハインドの9回二死から8得点。追い込まれた状況からの大逆転でベスト8入りを決めた。チーム一丸となって戦うその姿に太田 英毅(2年)の心は魅了された。「その時から智辯に憧れて、まさか自分がそこでプレーできるとは思ってなかったです」
中学時代に在籍した神戸中央シニアから、智辯学園へ進んだ先輩に誘われ、テレビの中の世界だった憧れの赤いユニフォームに袖を通した。太田は尊敬する人に、シニア時代の監督の名前を挙げている。「神戸中央シニアの山田高広監督がいなかったら今の自分はなかったですし、野球だけじゃなくて人間性の部分から教えてもらって尊敬してます。中学校で上手かったら天狗になることもあるじゃないですか。そういったことも一から叩き込まれましたし、僕の周りの選手はみんな上手くて、同級生には、滋賀学園の正捕手の後藤 克基や、大阪桐蔭の香川 麗爾がいたので抜かすのに必死で、天狗になることはなかったですね」
2人とも、強豪高に進むと、1年夏からベンチ入りを果たしているが、太田も負けてはいない。
鋭い打球を飛ばす力、機敏な動きを見せる守備に加えて隙あらば、三盗も決める技術も魅力の一つだ。しかし、これについては、「ピッチャーのモーションを見て、それで行けそうだったら行きます。自分もショートなんで、状況によってのショートの位置が大体わかるんです。気付いたら、三盗してました。でも、1年生の時はそんなにしていなかったので、2年生になってから増えました」と語る。
二盗よりも難しいといわれる三盗。どのようにして習得したのだろうか?
「多分、冬の練習で、失敗してもいい1ヶ所バッティングで意識して走ろうと思っていて、そこで感覚が身についてきたのかもしれません。昨春の選抜大会でも、せめて1回は、三盗を決めたいなと思っていたので、決められたので良かったです」と振り返った。
詰まってでも本塁打にするパワーを身に付けたい太田 英毅選手(智辯学園高等学校)
そんな太田は現在、通算本塁打は17本。その中でも2年夏の甲子園の出雲戦で放ったホームランが強く印象に残っている。「甲子園でホームランを打つのがずっと夢だったんで、嬉しかったですが、もう一回打ちたいなという気持ちもさらに強くなりました」
2年連続の選抜を目指した昨秋は、近畿大会ベスト8だった。だが、個人としての結果に、太田は満足していなかった。「全然ダメでした。いいところで回ってくるんですけど、そこで打てなくて苦しかったです」
1年の秋は1番を打っていた太田は、翌春の選抜大会では、3番を任された。秋の大会も3番だったが、11月最後の練習試合では、4番に。
「いろんな打順を打てたので楽しかったです。1番を打っていた時は1番がいいと思って、3番打ってる時は3番がいいなぁと思って、この前4番を打たせてもらったんですけど4番いいなぁって(笑)。何番でも楽しめるんですけど、一度、4番を打ったら華のある打順なんで4番打ちたいなぁという気持ちもあります」
日本一に輝いた昨年の選抜大会で4番を務めていた福元は昨秋、打線とチームを引っ張るため1番で起用された。これには気持ちを出してチームを引っ張るため、という小坂 将商監督の狙いがあるが、そのためには安心して主軸を任せられる打者が他にいなければ成立しない。それが、太田だった。タイプの異なる2人の強打者は相手からすれば脅威だ。
その太田が、このオフシーズン、特に力を入れているのが加圧トレーニングだ。「パワーを付けて多少詰まっても(スタンドに)入るぐらいになりたいです。そしたら打率も上がると思うんで。春には走攻守で全部ワンランク上がって、去年も選抜大会では個人的にはいい思いが出来ていないので、打率は5割ぐらい打ちたいです。全員で優勝旗を返しに行くという目標でやっていて、もし出場できればれ、それは達成出来たんで、次はチームとしてはベスト8以上を狙って、個人的にはホームラン打ちたいと思います。ライナーでバックスクリーンに打ちたいです」
廣岡大志さんは追い越したい存在太田 英毅選手(智辯学園高等学校)
視線の先に見据えている背中がある。「廣岡 大志さん(現・東京ヤクルト<関連記事>)は追い越したい存在です。そして納 大地さん(関連記事)もとても尊敬しています。野球だけではなく、私生活もしっかりやっていたら野球でも結果がついてくると納さんが証明してくれた感じです」
太田がレギュラーに定着する前は智辯学園のショートは廣岡が守っていた。前任者はプロ入りを果たす先輩だっただけに、比べられることも多かった。「守備もバッティングも落ちるんで、比べられるのは嬉しいんですけど自分の方が下なんで悔しい気持ちもあります。でも目標に出来る先輩がいるんで追い越したいと思って練習してます。廣岡さんの高校時代の成績は絶対超したいと思ってます。プロでやりたい気持ちもあるんで」と闘志を燃やす。
いつの日か2学年上の先輩と同じ土俵で対等以上に渡り合える日を目指し、日々練習に取り組んでいる太田。年末には上の世界を意識する上で絶好の機会が訪れた。6年毎に行われる親善試合で奈良選抜のメンバーに選ばれ台湾へ。試合は木製バットで行われた。
「金属より楽しいです。木で飛ばせたら本物なんで。でも詰まり回したら折れますね(笑)。合同練習の時に1本折りました。自分の中ではいい感じにセンター前に打ったんですけど、戻ったら折れていました」
木製バットを練習ではなく実戦で使うのは初めてのこと。結果のいかんに関わらず貴重な経験となったことは間違いない。
智辯学園は現在、奈良では21連勝。2015年秋から4連覇中だ。勝って当たり前というプレッシャーとも戦わなければならない。選抜王者として臨んだ昨年の夏は甲子園出場を果たすも実は予選ではヒヤヒヤの展開が続いていた。「そういうプレッシャーもありがたいことだと思うんで、それを楽しめたら結果もついてくると思いますし、去年は楽しめなかったんで。プレッシャーで固くなりましたけど、次は自分たちが楽しんでやったら後輩もついてくると思うんで、そういう姿勢でやりたいと思います」
下級生時に選抜日本一という最高の結果を経験し、今度は最高学年として引っ張る番だ。自信のバットで、道を切り開く。
(インタビュー・文=小中 翔太)
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