【写真提供】新幹線ギャラリー
 自然豊かな場所で田舎暮らしをしながら、都心の会社に通勤する・・・。そんな理想的な生活が手軽にできたら、素晴らしいですよね! しかも、その費用を自治体が負担してくれるとしたら・・・。そんな夢のような話がホントにあるんです。

 実現しているのは、福島県泉崎村。この村では、移住した人を対象とした「ゆったり通勤奨励制度」を制定。村が分譲する土地を購入し、移住した人に対して、その鉄道利用にかかる定期代相当額を全額、村が交付してくれるのだ。

 この制度を利用するには、いくつかの条件がある。村が分譲する土地を300平米以上購入すること。さらに泉崎村に住民票を移していること、そして鉄道で通勤すること。また初回申請日から3年経過するか、交付金額が300万円を越えると終了となる。泉崎駅〜東京駅(最速96分)の新幹線3ヶ月定期が約40万円ということだから、約2年近くは無料で通勤できる計算だ。今年4月には、適用者第1号が誕生し、毎月約12万円が支給されているとのこと。

 でもこのお金ってどこから出てるの? もしかして、私たちの税金!?

 ということで、泉崎村役場企画調整課に問い合わせてみることに。担当者の説明によれば、「村が分譲している土地を売った全体の収入から、この予算を捻出しています」とのこと。決して税金の無駄遣いではないことを強く主張された。

 条件にある300平米の地価は約1000万円ということだから、つまりはそのうち約300万円が交付金としてキャッシュバックされる仕組みになっているということ。だったら、始めから700万で売ってくれたらいいのに・・・と思うのは私だけ?

 特に人数などの制限はなく、分譲されている土地がすべて完売されるまでは有効とのこと。しかし、売却した利益を利用するなら、もっと有効に村を活性化する策が他にも考えられそうなものだが・・・。交通費でキャッシュバックするというのは、通勤が遠距離になればなるほど、つまりつらければつらいほど恩恵に与れるというおかしな結果を招くし、昼間の人口流出は進むしで、これでは貴重な収入を得ても、さっぱり村おこしになっていないのではないだろうか。大丈夫か、泉崎村・・・。(文/verb)