地球と宇宙の間を繋ぐエレベーターが完成・・・。これってSF小説の中の話ではないんです。

 現在、この宇宙エレベーター(=軌道エレベーター)の実現に向けた研究・開発がアメリカNASAで行われている。その構想とは、地球と大気圏外を、幅1メートル、長さ約10万キロにも及ぶリボン状のケーブルで繋ぐというもの。このケーブルにエレベーターを取り付けて、宇宙への物資の輸送、さらには人を運ぶことまで想定されているというのだから驚き。

 当初は夢のような話と言われていたこの構想が、急に現実味を帯びてきたのには、ある素材の急速な開発が大きく関わっている。その素材とは、カーボン・ナノチューブ。非常に軽量で、強度は鋼の30〜100倍にもなるという、まさに夢の素材。現在、いちばん重要な地球と宇宙空間とを繋ぐリボン部分に使われる素材の第一候補だ。この素材によって宇宙エレベーター開発は加速し、早ければ約15年後には実現するのでは、という見方をする専門家も現れている。

 ところで、この宇宙エレベーターの実現は、私たちの生活にどのような影響を及ぼすのだろう?

 そこで『軌道エレベーター』(裳華房)の著者でサイエンス・ライターの金子隆一氏に話を聞いた。「誰もがちょっと豪華な海外旅行程度の料金で宇宙へ行け、ありとあらゆる産業が、無尽蔵の太陽エネルギーや資源、クリーンな環境や低重力を求めて宇宙へ出て行くようになるでしょう」。私たちにとって宇宙は、ぐっと身近な存在となり、そこから豊かな資源を得ることができるようになりそうだ。

 さらに同氏から私たち市民生活へと影響として次のような指摘も。「誰もが地球に依存せず生きていけるようになったとき、我々はこの惑星にこれ以上干渉すべきでないと考えるようになるでしょう。数世紀以内に、人類の活動拠点は地球から宇宙に移り、地球は丸ごと自然公園として保存されることになると思われます」。

 そう遠くはない将来、宇宙エレベーターは実現し、現在の私たちには想像もできないような世界が、そこには広がっているのかも。今から、宇宙旅行に備えて貯金をしておく、なんていう手もアリかもしれませんよ! (文/verb)

「軌道エレベーター」は、在庫がない場合もあるのでご注意を。