仕事などでアイデアに詰まったとき、喫煙者の方なら「とりあえず一服してから考えよう」と思ったりするかもしれませんね。最近は、昔と比べるとタバコを吸う人はだいぶ肩身が狭くなってきているようです。今回は、そんなタバコについての歴史を振り返ってみたいと思います。


未成年者の喫煙は法律で禁じられています



現代、なんだか微妙な存在になってきてしまった「タバコ」。
実は、昔の日本人はタバコが大好きで、かなり多くの人がタバコを吸っていました。
男性はもちろん、女性、そしてなんと、子どもまで吸っていたのです。

江戸時代、花柳界ではタバコはとても大事なアイテムでした。
タバコを吸うときの所作などが粋とされていたため、遊女たちにとっては欠かせない演出道具だったのです。
特に芸の未熟な若い芸妓(げいぎ)にとって、タバコは間を持たせるのに格好の道具。
まさに、なくてはならないものでした。

まだ健康被害などが知られていなかった明治時代でも、タバコは嗜好品として庶民の身近にあるものでした。
なんと、ある文献には「小学生が煙を吹き校舎に出入りする」という記述もあり、どうやら当時は、学校で教師も生徒も喫煙していたのだということがわかります。
今であったら、考えられないような状況です。

ですが、明治33年、ついに政府は未成年者の喫煙を禁止。
その理由は、学校での喫煙は秩序を乱し、教育上問題がある、と考えられたから。
この時期くらいから「大人」と「未成年」の区別がはっきりし、子どもは大人が保護し、生活を指導していかなければならない、という考え方がようやく浸透し始めたとも言われています。

困ったのは、吉原の遊女たち。
大事な演出道具であるタバコを奪われるのは営業妨害と必死に訴えるのですが、やはり覆(くつがえ)ることはありませんでした。

皆の嗜好品だったタバコですが、現代では少数派のアイテムに。
100年という月日は、いろいろなものを変えていくんですね。

文/岡本清香

TOKYO FM「シンクロのシティ」にて毎日お送りしているコーナー「トウキョウハナコマチ」。江戸から現代まで、東京の土地の歴史にまつわる数々のエピソードをご紹介しています。今回の読み物は「小学生がタバコを吸う!? 明治時代」として、4月25日に放送しました。

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