から揚げに、一緒に出されるレモンをかけますか? レモンには油の消化を助ける成分が含まれていて、から揚げにレモンというのは実はとても理にかなった食べ方なんです。ということは、お刺身の「つま」にもきっと何か意味があるはず! 今回のお話の主役は、脇役の「つま」です。


あなたは「つま」を食べてますか?



皆さんはお刺身、好きですか?
まぐろ、ブリ、イカ、かつお……新鮮な生の魚は本当に美味しいですよね。
でも、お皿に魚だけだと、なんだかちょっと寂しい。
そう、お刺身を豪華に彩っているのは、そばにある「つま」のおかげでもあります。

「つま」という言葉の由来は、メインであるお刺身のそばに寄り添っている奥さん、「妻」であるからという説があります。
現在だと大根の千切りがつまである場合が多いですが、実はそれは間違い。
本来はあれは「つま」とは呼ばず「けん」と呼ぶのだそう。

「けん」とは刀の「剣」のことで、細長い物を意味します。
江戸時代はお刺身に一緒につける大根の千切りは「けん」と呼んでいました。
では、「つま」には何が使われていたのでしょう?
多かったのは、「穂紫蘇(ほじそ)」とよばれる紫蘇の穂。
そして生海苔や黄色の小菊などだったそうです。

こうしたつまは、生ものであるお刺身の「消毒」として合間合間に食べられました。
どれも殺菌作用が強く、それは「けん」と呼ばれる大根も同じ。
昔は今ほど衛生状況が良くなかったので、つまやけんの役割はとても大きかったのです。

現代ではつまを食べるのはみっともない、という風潮もあるようですが、添えられているものにはメインの食べ物との相性が考えられているものが多いので、食べたほうが健康的には良さそうです。

ちなみに、つまとして添えられていた「黄色の小菊」。
これが名残となり、スーパーの刺身パックなどにもプラスチックの小菊が入っているよう。
殺菌のために添えていたものが飾りになってしまったのも、「つま」を食べない人が増えていったからなのかもしれませんね。

文/岡本清香

TOKYO FM「シンクロのシティ」にて毎日お送りしているコーナー「トウキョウハナコマチ」。江戸から現代まで、東京の土地の歴史にまつわる数々のエピソードをご紹介しています。今回の読み物は「あなたは『つま』を食べますか?」として、4月13日に放送しました。

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