幼稚園で「弁当に冷凍食品禁止」が波紋を広げています。しかも、「練り物」や「加工食肉」禁止の園もあったり、おかずの品数は5品以上と決まっている園もあるそうで、母親大激震の状況のようです。

弁当に冷凍食品禁止って、根拠あるの?



 当初、ネット上には「冷食なしでどうしろと?」や「これ以上、保護者の負担を増やす気か」、「そこまで言うなら給食にしろ」など、冷凍食品禁止に対する怒りの声が溢れていました。しばらくすると、「冷凍食品をいかに手作り風に見せるか」という母親たちの知恵の出し合いも飛び出し、さながら知恵比べの様相を呈しています。

 さて、「冷凍食品禁止」についてですが、そもそも幼稚園側が園児の弁当の内容について指導する根拠はあるのでしょうか。

 文部科学省の管轄である幼稚園は、「幼稚園教育要領」に従って指導を行います。平成19年度に改定された「幼稚園教育要領」には、「食育」という新しい項目が付け加わりました。
園児が健全な食習慣を身につけられるよう、平成17年度施行の「食育基本法」に従い、幼稚園側が指導することが求められているわけです。

 そして、問題の弁当について言及した文書もあります。文科省初等中等教育局幼児教育課が各都道府県の幼稚園に宛てた「幼稚園における食育の推進について(通知)」です。この通知の中で、給食は食育の「生きた教材」として活用されるように、との一節があり、それに続けて、「弁当の場合についても、保護者と連携をとりながら、給食の場合と同様に食育の推進に努めること」との一節があります。

 つまり、弁当は、食育の「生きた教材」であることが望ましいとされているんですね。となると、「冷凍食品禁止」の幼稚園は、冷凍食品の入った弁当は「生きた教材」として望ましくないと判断したと言えます。

 では、「生きた教材」として望ましい弁当ってどんな弁当だ? という意見も当然出てくると思います。その上で、「生きた教材かぁ、となると手作りだよな」と思うか、「別に冷凍食品が入っていても問題ないんじゃない?」と思うかは、保護者それぞれの判断でしょう。あるいはまた、「弁当は教材じゃない」という意見もあるかもしれません。弁当と一言で言っても、それぞれの家庭環境や、どんな物を食べて育ってきたかという生育歴で、イメージするものは全く違ってしまいます。幼稚園側も指導が悩ましい部分ではないでしょうか。本当は、冷凍食品が1品か2品ぐらい入っていてもいいんでしょうが、そうなると今度は品数の線引きも難しいってところで、全面禁止にしたのかなとも思います。

 そもそも、食育基本法が生まれた背景には、乱れた食生活からくる子どもたちの健康問題があります。その点も踏まえ、「弁当に冷凍食品禁止」というトピックを考えてみると、いろいろなことが見えてくるのではないかと思います。

文/ガンガーラ田津美

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