あなたは大丈夫? 10人に1人がストーカー被害に

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・山本恵一(メンタルヘルスライター)

内閣府が発表した「男女間の暴力に関するアンケート調査の結果」(2014年12月)によると、女性の10人に1人がストーカー行為を受けた経験があると答えています。

被害女性の28.9%、男性の15.7%が命の危険を感じ、日常生活に支障をきたしています。また、女性18.4%、男性57.1%が、被害を受けているのに誰にも相談をしていません。

ストーカーの8つの特徴


特定の他者に執拗につきまとうストーカー
恋愛、夫婦や職場など、顔見知りとの関係がもつれて起きることが多いようです。
ストーカー規制法では、「つきまとい等」として、次の8つの行為が挙げられています。

1. つきまとい、待ち伏せ、進路に立ちふさがり、住居等で見張り、押し掛けたりする。
2. 被害者の行動を監視しているように思わせる。
3. 拒否しているにもかかわらず、面会、交際などを強要する。
4. 著しく粗野で乱暴な言動をする。
5. ワン切りなど無言電話、電話やファックスを執拗に送り続ける。
6. 汚物、動物の死体など不快で嫌悪なものを送り付ける。
7. 被害者の名誉を害する情報を流す。(「あの女はだれとでも寝る女だ」など)
8. わいせつな写真を送り付けたり、電話やメールで卑猥な言葉で辱めるなど、性的羞恥心を侵害する。

こうした行為は被害者を怖がらせ、心身を傷つけるどころか、
場合によってはエスカレートして凶悪事件に発展していくケースも増えているようです。

 ストーカーの心理は「自己中心的な恨み」


NHKのTV番組『クローズアップ現代』で、過去にストーカーの告白が取り上げられる回がありました(2013年12月放送)。
「自分の所有者が勝手に出ていった。心の中から聞こえてくるんですよ、“奪還せよ”。」
「衝動的な行動に出たくなる。殺意が一瞬で芽生える。」
「自分のこと、まだ彼女が理解できてないから、避けられているんだと思っちゃう。もっと自分のことをわかってほしい、わからせてやる。余計、追いかけたくなるという心理が働きます」

「自分が許可していない態度をとるな。自分の思い通りに動いてくれる人形だと思っていたんです。」
「理解してくれない彼女に対しても、憎しみがわいてきている。」

にわかには信じがたい、自己中心的な執着心や支配欲が赤裸々に語られています。

 ストーカー3つのタイプとは


ストーカーには、次の3つのタイプが指摘されています。

1.恋愛型(復讐型)

最も多いタイプで、恋愛・夫婦関係などのもつれから起こるもの。本人が自覚していない場合もあるので、はっきりと拒否をすることでストーカー行為を抑止できるようです。しかし、被害者が恋愛依存症の共依存や「依存性パーソナリティ障害」だと、はっきりと断れなかったりします。

2.妄想型

こじれた関係が、別れた後、妄想に発展していくケースで、どんどん行為がエスカレートしていきます。「猜疑性パーソナリティ障害」などに見られるサイコパス・タイプですので、被害者一人では対応が困難です。早急に警察などに相談する必要があります。

3.ネットストーカー

メール、掲示板やブログなどで、ふとしたことから「考え方が気に入らない」「ムカつく」などが、嫌がらせへ発展していくケースです。ネット上への個人情報開示は慎重に行うべきですね。
『クローズアップ現代』では、「若者に広がる“ストーカー予備軍”」と題して、スマホの普及で、GPSで居場所がわかる、常に連絡が取れる、使い方によっては容易に相手を束縛できるなど、ネットストーカーの温床になりうる情報環境を指摘していました。

ストーカー対策は「独りで抱え込まないで相談する」こと


平成12年にストーカー規制法が施行されてから、警察は積極的にストーカー問題に乗り出しています。
警視庁の場合「相談ホットライン」を設けていますし、弁護士など法律家も相談に応じています。また、無言電話などにはNTTが「迷惑電話お断りサービス」(有料)を実施しています。
これらの相談や支援サービスを利用して、独りで抱え込まないことが重要です。
加害者に対しては、警察や司法による抑制はもちろんですが、
パーソナリティ障害や依存症など、病気として治療的に取り組んだり、その未熟さを変えていくよう働きかけるNPO法人の活動などもあるようです。
万が一、ストーカー被害にあってしまった時は独りで抱え込まないで、周囲の人や支援サービスへ相談しましょう。
参考:警視庁「ストーカー被害にあったら」
http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/kouhoushi/no1/9110/9110.htm

●執筆者プロフィール:山本恵一(やまもと・よしかず)
メンタルヘルスライター。立教大学大学院博士課程修了、元東京国際大学心理学教授。保健・衛生コンサルタントや妊娠・育児コンサルタント、企業・医療機関向けヘルスケアサービスなどを提供する株式会社とらうべ 副社長