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●症状を抑制するための投薬タイミング
「花粉症」と聞くと、一部の人は非常に辟易とした気持ちになるだろう。特に有名なスギ花粉が一般的に飛散する2〜4月は、目がかゆかったり充血したりと、どこに行くにしてもおっくうになる。

実はこれらのアレルギー症状は、花粉飛散開始前から薬を投与する「初期療法」を行うことでシーズン中のつらさを緩和できるのだ。本稿では、あまきクリニック院長の味木幸医師の解説をもとに、花粉症における初期療法の重要性について紹介する。

○ベストな投薬タイミングは

花粉症の症状が悪化してから治療を始めると、それだけ効果が強い薬を使用する必要があるし、症状が緩和されるまでの時間もかかる。近年では、花粉飛散開始の2週間ほど前から薬を使い始めると、シーズン中の症状が軽くなることがわかってきている。これが初期療法だ。

「飛散開始の2週間ぐらい前から、抗アレルギー薬を内服と外用で両方とも使用します。シーズン前に薬を投与することで、飛散時期に向けて体の"準備"を整えるという意味合いがあります」。

目のための投薬というと外用の点眼のイメージが強く、内服薬はあまり意味をなさないのではと考えている人もいるだろう。それでも、やはり体の内と外から防御した方が効き目は高いと味木医師は指摘する。

○治療薬の種類

目薬による治療は、抗アレルギー薬や抗ヒスタミン薬、場合によってはステロイドを用いる。

■抗アレルギー剤

かゆみの原因であるヒスタミンの発生を予防する。症状が軽度ならばすぐに作用するが、通常は使用を開始してから徐々に効果が高まり、約2週間で効果が安定する。

■抗ヒスタミン剤

その名の通り、ヒスタミンの活動を抑制する。一般的に抗アレルギー剤よりも即効性に優れる反面、効果の持続性が乏しいとされる。

■ステロイド剤

抗アレルギー剤と抗ヒスタミン剤で症状が緩和しない場合や、症状がひどい場合に使用する。

「ステロイドは副作用が怖がられていますが、医者の管理下ではないと使えないですし、うまく使えばひどいアレルギー症状を改善できます」。

●飛散開始後でもまだ間に合う!
○コンタクト装用時でも使える点眼薬

特に今シーズンは、抗アレルギー点眼薬の一部製品がコンタクトの上から使用できるようになったという。

コンタクト装用時の点眼は、点眼剤に含まれる主薬がレンズに何らかの影響をおよぼす可能性が指摘されている。そのため、花粉症患者は点眼の度にレンズを外す必要があった。場合によっては、レンズを外した際に花粉が目の中に入り込み、点眼後も結局かゆみに悩まされるというケースもあった。そんな「憂き目」にもう遭遇しないですむというのだ。

「医者からの処方となりますが、そういう新しい点眼薬もあります。その点眼薬は花粉症予防にもなるし、対策にもなります。私のクリニックで治療をしていても、その点眼薬だけで初期療法がすむ人がいます。初期段階でそのような効き目のある薬を使うと、1種類でもかなりの予防になります」。

○飛散開始後でも症状を緩和できる

地域によっては、既に「1平方cmあたりの花粉が連続して1個になった最初の日」と定義されている飛散開始日を迎えているだろう。

「じゃあもう、今から治療しても遅いじゃないか」と感じるかもしれないが、花粉が飛散しだしてからでもシーズン序盤に治療を始めておけば、ピーク時の症状を緩和できるという。まだ決して遅くないのだ。

「患者さんは症状がひどくなってから来院されますが、皆さん同じく症状がひどいため、病院で2〜3時間待ちという状況に遭遇することもあるかと思います。初期療法のときにくると病院もすいていますので、早めの診察をお勧めしますよ」。

※写真と本文は関係ありません

○記事監修: 味木幸(あまき さち)

あまきクリニック院長、慶緑会理事長。広島ノートルダム清心高校在学中に米国へ1年の留学。米国高校卒業後に母校に戻り、母校も卒業。現役で慶應義塾大学医学部入学。同大学卒業後、同大学眼科学教室医局入局。2年間の同大学病院研修の後、国家公務員共済組合連合会 立川病院、亀田総合病院、川崎市立川崎病院・眼科勤務。博士(医学)・眼科専門医取得。医師として痩身や美肌作り、メイクアップまでを医療としてアプローチする。著書も多数あり。

(栗田智久)