《サッカー界のなぜ?》世界最高選手の称号“バロンドール”はどうやって決まる?

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 FIFA(国際サッカー連盟)は20日、FIFAバロンドールの候補者23名を発表した。

 今月初旬には、候補者59名のなかに、レスターに所属する日本代表FW岡崎慎司の名前が含まれていたことがスペイン紙『ムンド・デポルティーボ』で報じられ、大きな話題を呼んだことも記憶に新しい。では、実際に“バロンドーラー”はどうやって決まるのだろうか?

 その前にまず、FIFAバロンドールの概要をおさらいしておこう。

 FIFAバロンドールとは、国際サッカー連盟(FIFA)が選出する世界年間最優秀選手賞のことを指す。要するに、この賞に輝いた選手が「サッカー界におけるその年のベストプレーヤー」ということだ。

 2009年まで、サッカー界の主要な個人賞には、FIFAが選出する「FIFA最優秀選手賞」と、フランスのサッカー専門誌『フランス・フットボール』が選出する「バロンドール」が存在していた。だが、2010年に2つの賞を統合する形で、「FIFAバロンドール」が誕生し、今に至っている。“バロンドール”は、フランス語で「黄金のボール」を意味し、受賞者にはサッカーボールをかたどった黄金のトロフィーが授与される。

 また、受賞対象者は、全世界中で競技するサッカー選手となる。1994年まで、つまり『フランス・フットボール』誌が単独で主催していた頃は、ヨーロッパ各国の記者投票によって、ヨーロッパでプレーするヨーロッパ出身の選手だけが賞を受け取るシステムだった。だが、1995年からは、国籍に関係なくヨーロッパでプレーしている全選手が対象となり、2007年以降は全世界でプレーする選手にまで対象者が広がった。そして、2010年の「FIFAバロンドール」誕生後は、投票権を持つのも、ヨーロッパ各国の記者だけでなく、各国代表チームの監督と主将及び、サッカー記者まで幅広くなった。ただし、これまでヨーロッパ以外でプレーする選手がバロンドールを受賞したことはない。

 では、候補者23名は、いったい誰が選んでいるのだろうか?

 候補者の選考は、FIFAの委員会「フットボール・コミッティ」が、『フランス・フットボール』誌に協力を得る形で行われている。同委員会のチェアマンを務めるのは、UEFA(欧州サッカー連盟)のミシェル・プラティニ会長だ。

 そして、そのメンバーが豪華すぎる。ジョージ・ウェア(リベリア)、クリスティアン・カランブー(フランス)、カルロス・ビラルド(アルゼンチン)、ホセ・ルイス・チラベルト(パラグアイ)、デメトリオ・アルベルティーニ(イタリア)、ハリー・キューウェル(オーストラリア)など、かつての名選手たちをはじめとして、レアル・マドリードのフロレンティーノ・ペレス会長やバイエルンのカール・ハインツ・ルンメニゲCEOなど、現職のクラブ関係者の名前が並ぶ。さらに、バイエルンの名誉会長を務めるフランツ・ベッケンバウアー氏と、“サッカーの王様”ことブラジルのペレ氏も、「スペシャル・アドバイザー」として名を連ねている。なお、そうそうたる顔ぶれのなかに、現日本サッカー副会長の田嶋幸三氏の名前があることも忘れてはならない。

 そんな彼らが選んだ候補者23名に対し、いよいよ投票が行われることになるが、投票権を持つ者は、1位・5ポイント、2位・3ポイント、3位・1ポイントとして3人を選ぶことになる。ただし、公平を期すため、自分が所属している代表チームと同じ国籍の選手へ票を投じることはできない。また、オンラインでの投票に加えて、署名された文書の提出も必要になる。2014年度の投票では、北アイルランド代表サッカー協会が、文書を締め切りまでに送らなかったため、監督と主将が無効になったことが後に明らかとなり、話題を呼んだ。