そうして集まった票が集計されると、合計ポイントの上位3名が最終候補者として発表され、年明けの授賞式で晴れて“バロンドーラー”がお披露目されることになる。今年の授賞式は、1月11日、スイスのチューリッヒで開催される。

 ところで、バロンドールと言えば、「単なる人気投票ではないか?」という批判が絶えない。実際、2009年以来、同賞を獲得したのは、レアル・マドリードのポルトガル代表FWクリスティアーノ・ロナウドとバルセロナのアルゼンチン代表FWリオネル・メッシの2人だけという、独占状態が続いている。

 その要因としては、やはり投票権が、世界中の監督や選手らにまで広がったことが考えられるだろう。かつて『フランス・フットボール』誌だけで投票が行われていた際には、明確な基準のもと、なるべく客観性を保った形で選考が行われていたという。しかし、現在は世界規模で行われるイベントとなり、基準がないまま、個人の好みだけで投票が行われているのが実情だ。

 冷静に考えてみれば、ヨーロッパを活躍の舞台としない監督や選手にとっては、候補者23名の実力を肌で感じ取ったわけではないため、見た目の印象やタイトル、ゴール数という明確な結果を頼りに投票するしかない。すると、守備的な選手よりも攻撃的な選手、地味な選手よりもメディア受けする選手が受賞する確率が必然的に高くなるのだ。

 ちなみに、ブックメーカー各社の予想によれば、今回のFIFAバロンドールは、リオネル・メッシの受賞が最有力だという。昨シーズン、バルセロナの欧州3冠達成の立役者となったのが、一番の理由だ。おそらく多くの異論は出ないだろうが、代わり映えしないのもまた事実。“最優秀”や“MVP”を選ぶ作業がいかに難しいかは、サッカー界に問わず共通することだが、その価値が損なわれないように、選ぶ側も選ばれる側にとっても満足できる選考方法を検討することも今後は求められるかもしれない。