アメリカvsキューバ
逆転を呼び込む一打を放ったプラット（アメリカ）
これが世界トップレベルのポテンシャルを持った国同士の戦いなのかを感心しながら見ていた。
2回裏、アメリカはまず7番ベンソンの適時打で先制すると、さらに二死二、三塁から9番ラザフォードの2点適時打で3点を先制。さすがアメリカともいうべき攻撃であったが、3回表、キューバが反撃。1番ノロニャの押し出し四球、一死満塁から2番ガルシアの適時打、3番ロベルトの適時打。攻撃はなおも止まらず4番コラスは二塁強襲安打で一気に逆転に成功。さらに5番バルガスの犠飛で、5対3とする。
キューバが打ち崩したダナーは上半身主導のフォームから常時140キロ後半（最速148キロ）の速球、130キロ前後のカットボールを投げ込む逸材。アメリカのトップクラスはこのレベルが普通なのだから、人材が多いと実感させられる。それを打ち返すキューバ打線。これまでの試合を見ても、なかなか打線が爆発せず、評判ほどではないかなと思っていたところにこの集中打である。打球の速さ、スイングスピードの速さ、パワーは日本人選手にはないものが備わっており、やはり脅威の打線である。
アメリカはその裏、押し出し四球で1点を返すが、5対4とキューバリードのまま試合が進行をしていく。キューバの2番手・イオシマル・イサクコウシンラもバネの強さを生かした投球フォームから140キロ中盤の速球は常に揺れ動いており、カーブとのコンビネーションはなかなかで、なかなか打ち難い右腕であった。
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アメリカの3番手投手・ジェファーソンローソン投手
だが7回裏、アメリカが一死二、三塁が4番プラットが一ゴロ。これを本塁に送球した一塁手に暴投して、三塁走者だけではなく、二塁走者も生還して、逆転に成功する。
この瞬間、アメリカナインからベンチから飛び出して、大喜び。一番喜んでいたのは選手ではなく、セッチーニ監督だった。セッチーニ監督は喜怒哀楽が激しい方だが、とても選手思いで、コーチを信頼する方。選手と一緒に喜ぶ姿を見ると何か兄貴分と感じさせる。 そしてこのリードをアメリカの3番手投手のレジナルド・ジェファーソンローソン（右/右）が凄かった。193センチ83キロと長身だけではなく、身体能力の高さを実感させる投手。ややトルネード気味の足上げからテイクバックの大きいフォームから繰り出す常時145キロ〜150キロを計測。高スピンがかかったストレートは、素晴らしく、とても同じ高校生とは思えない質感があった。何よりごつごつとした筋肉質ではなく、しなやかさと弾力さがあり、用いるポテンシャルの高さを発揮できる投手であった。
勢いに乗るキューバ打線を抑え、アメリカが6対5でキューバに勝利し、スーパーラウンド2連勝。通算成績を3勝1敗として、決勝進出に大きく前進した。
それにしてもアメリカ、キューバの各野手、各投手たちのスピード、ボールを投げるスピード、打球を飛ばすパワーはどれも群を抜いており、改めて世界のレベルは高いと感じさせる試合であった。
（文＝河嶋 宗一）
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