日本vsブラジル
先発・上野 翔太郎（中京大中京）
独特な雰囲気のある国際試合。ほとんどの選手が初体験だけに立ち上がりが大きな意味を持つ。
その初回、オコエ 瑠偉が四球で出塁すると、開会式では英語で選手宣誓の大役を務めた2番の篠原 涼が右前安打。オコエは当然のように三塁に進み、3番平沢 大河の犠飛で先制のホームを踏んだ。さらに4番清宮 幸太郎の四球、5番豊田 寛の右前安打で満塁とし、6番勝俣 翔貴が右中間を破る三塁打を放ち、初回に4点を入れた。勝俣は西東京大会の決勝戦で敗れた後は、家で素振りなどをしただけで、「寮に入って本格的に始めたのは8月半ばからです」と言う。それでも、実戦で長打を打つ打撃センスはさすがだ。
西谷 浩一監督は、「初回に点が取れて楽になった」というように、これで日本は、勢いに乗る。
一方日本の先発は上野 翔太郎。安定感、コントロールの良さを買われての初戦先発だ。上野は、1回は無難に切り抜けたが、2回に四球と2本の安打で無死満塁のピンチを迎える。「中途半端な変化球が多かった。むしろ真っ直ぐを嫌がっていました」と言う西谷監督の言葉にあるように、変化球主体の投球がピンチを招いたが、満塁の場面で、自信のある内角ストレートで7番D・オリベーラを併殺に仕留めると、8番ビスポは、センターへの飛球。これをオコエが目測を誤りながらも捕球する。この時間帯は薄暮。「一瞬ボールを見失ったのですよ」とオコエは言う。それでも捕球し、ピンチを脱したことで、完全に日本ペースになる。上野は3回から6回の間に7奪三振の無安打に抑える。
注目の清宮は内野安打1本に終わったが、押し出しの四球を含め、2打点。「今日はチームのためにつなぐ野球を意識しました」と言うように、しっかり仕事はする。
4回に1点、5回にも4点を入れると、ブラジルは戦意喪失したように、6回も日本が5点を加え、14対0で日本が7回コールドで初戦を飾った。
大敗したブラジルであるが、登板した4人の投手のうち、3人が日系人ということからも分かるように、日系人を中心にサッカー王国ブラジルに野球を広めている。中堅手・マシエルのように身体能力に優れた選手も多く、今後に注目したい。
（文＝大島 裕史）
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