鹿児島実vs鹿児島南
谷村（鹿児島実業高等学校）
鹿児島実が鹿児島南を圧倒した。 鹿児島実は初回に3番・板越 夕桂（2年）の犠牲フライ、5番・追立 壮輝（2年）の右中間二塁打で2点を先取。2回にも1点を加え、3回は一死から4番・綿屋 樹（2年）、5番・追立の連続二塁打を皮切りに、5安打を集中し打者一巡の猛攻で4点を奪い、序盤で大量リードを奪った。5番・追立は4回には2点タイムリー二塁打を放ち、4打点の活躍だった。
右アンダースローのエース谷村拓哉（2年）は、コーナーを丁寧に突く投球で、鹿児島南打線を9回一死まで2失点と好投し、試合の流れを作った。 鹿児島南は4回からリリーフした右サイドスローの鶴田響基（2年）が失点を食い止め、5回に4番・吉永隼之祐（2年）の2ランで意地をみせたが、序盤の失点が重かった。
甲子園帰りの鹿児島実の新チームが、尻上がりに調子を上げ、2年連続で鹿児島市内大会を制した。 初戦の鹿児島工戦、準々決勝の鹿児島戦といずれも薄氷の逆転勝利。甲子園から帰って3、4日しか新チームの練習をしておらず「どんな選手がいるのかもまだ把握していない」（宮下正一監督）状態だった。打順が変わらなかったのは4番・綿屋のみ。初戦から4試合をほぼフル出場したのは綿屋、板越、追立の前チーム経験者に中堅手・佐々木幸大（2年）の4人で、ポジションも、打順も、様々な選手を試行錯誤しながら臨んだ公式戦だった。
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試合シーン
各試合、ベンチ入り20人のうち15、6人は使っており、決勝戦も17人をつぎ込んだ。まさに「試合をしながらチームを作っていく」（宮下監督）状態だった。初戦、2戦目は投手陣が踏ん張れず、守備も乱れたが、「選手たちは負ける気はしなかった。2試合勝ったことである程度、チームの方向性がみえた」（宮下監督）。準決勝は背番号11の右腕・丸山拓也（2年）が好投し、鹿児島商を完封し、コールド勝ち。決勝は初先発の谷村が好投し、準決勝、決勝と「守備からリズムを作る野球」（綿屋主将）ができた。
序盤は苦しい試合が続いたが「今まで知らなかった選手が活躍したりして、ワクワクしながら大会を過ごせた」と宮下監督。準々決勝の鹿児島戦では劣勢の展開だったのを6回に4番・綿屋のソロホームランで流れを引き戻し、代打で起用した山内祐也（2年）の2ランで逆転した。決勝では5番に座った追立が3本の二塁打を放ち、4打点と活躍した。「逆方向に長打が打てたのは大きい。4番・綿屋が敬遠されれば、次を打つ打者がカギになる中でしっかり打ってくれた」と宮下監督。綿屋主将も「甲子園では調子が良くなかった追立が打ってくれて心強かった」と振り返った。
新チームは「各ポジションのレギュラー争いが激しい」と綿屋主将は言う。各ポジションで2、3人レギュラー候補がいて、前チームから4番を打つ綿屋主将といえども「うかうかしていられない」。綿屋、板越、追立の甲子園組が中軸に座る打線はある程度点が取れることが分かった。あとは投手陣を含めた守備をどう作っていくかが秋までの課題だ。
昨年も市内大会を制したが、昨秋は準々決勝で敗れた。綿屋主将は「夏は先輩たちに甲子園に連れて行ってもらったけど、今度は自分たちがチームを引っ張って、油断することなく目の前の一戦一戦を勝ち上がっていきたい」とかぶとの緒を締めていた。
（文＝政 純一郎）
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