マリナーズ・岩隈久志【写真:田口有史】

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日米通じて自身初の快挙、会場はスタンディングオベーション

 マリナーズ岩隈久志投手(34)が12日(日本時間13日)の本拠地オリオールズ戦で日米通じて自身初のノーヒットノーランを達成した。7奪三振3四球で今季4勝目(2敗)。3−0の勝利の立役者となった日本人右腕は偉業達成の瞬間、同僚に揉みくちゃにされ、観衆からスタンディングオベーションを受けるなどセーフコ・フィールドは祝福モードに包まれた。

 3個の四球を与えたものの、116球という力投で球団史上5度目のノー・ノーを達成したヒーローはダグアウトでテレビカメラの前に向かうと背後からゲーターレードシャワーをを浴びた。

 満面の笑みの岩隈は9回に「クマコール」で盛り上げてくれた観衆について、「すごく後押ししてくれた。気持ちいっぱいで投げました」と話すと、スタンドは再び大きく湧いた。

 日本人投手ではドジャース時代の1996年と2001年のレッドソックス時代に2度成し遂げている野茂英雄投手以来。実に14年ぶり2人目の偉業について、9回から意識していたという。

8月は3試合で2勝0敗、防御率1・46

「最終回マウンドに上がってから1人1人という感じでいこうと決めていました」

 こう語った岩隈は強打者がそろうオリオールズ打線をアグレッシブな投球で封じ込めた。今季、前半戦は右広背筋を痛め故障者リスト(DL)入りも経験したが、復帰後は8試合の登板のうち5試合でクオリティー・スタート(QS、6回以上を自責3以内)でゲームを作り、4勝をマーク。8月に入ってからの3試合では2勝0敗、防御率1・46とさらに調子を上げている。

「とにかく先頭打者をしっかり取っていこう、自分のピッチングと、らしさを出していこうと全力でいきました」

 インタビュアーから最初に誰に喜びを報告するかと問われた際は、この日セーフコ・フィールドで圧巻のピッチングを見守った家族の名前を挙げた。

「家族は今日見に来てくれた。すごく心強かった。今日は本当にたくさんの方の応援のおかげでノーヒットノーランをさせてもらった。感謝の気持ちでいっぱい」

 そう語ると、会場は再び拍手に包まれた。