イヤホンで時差ボケを解消?「HumanCharger」がEUで医療機器として承認

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仕事や旅行で海外に出ても、時差ボケで今ひとつ能力が出し切れなかったり、海外での観光スタートにエンジンが掛からない、といったことで悩んでいる方もいるだろう。

様々な時差ボケ解消法があるようだが、それらのなかに、イヤホンを使って時差ボケを治療するというValkee社の『Human Charger』という製品があった。

しかしイヤホンで時差ボケが解消できるの? といったうさんくささも感じていた人もいるのではないだろうか。

ところがこの『Human Charger』が、その効果が認められてこの4月にEU指令92/43/EECにおけるEU医療機器CEマーキングを取得したのだ。

既に海外遠征を行うスポーツ選手達の間では使用実績もある『Human Charger』とは、どんな仕組みで時差ボケを解消してくれるのだろうか。

イヤホンからは音ではなく強い光が発せられる

『Human Charger』は実は時差ボケ解消装置として生まれたわけではなく、元々はフィンランド北部などの冬に暗い期間が長く続く地域での体調調整のために開発された光セラピー装置だった。

つまり光治療によって体内時計を正常に保たせることが目的で開発されたのだが、この装置の実験や検査が行われている内に、時差ボケ解消に役立つことが分かったのだ。

『Human Charger』は胸ポケットに入るほど小さな本体にイヤホンが付属している物で、初期のiPodに似ている。普通に装着していれば、誰もが音楽を聴いていると思うだろう。

ところが『Human Charger』のイヤホンからは音楽は一切流れない。実はこのイヤホンから出てくるのは、強い光なのだ。

どういうことかというと、『Human Charger』のイヤホンからは、紫外線を含まない強い青色の光りが照射される。

このイヤホンを耳に装着すると、強い光が外耳を通って脳の光りを感じる部位に到達するのだという。

この光治療を一回約12分を1日に数回行うことで、現地時間への適応が早まるという効果があるのだ。

『Human Charger』を使用する際には、スマートフォンの専用アプリを利用する。アプリはiPhone、Android端末、Windows Phoneに対応している。

EU当局が認めた効果

『Human Charger』の開発元であるValkee社はフィンランド航空と提携して、2012年からヘルシンキ〜上海路線のビジネスクラスで『Human Charger』のテストを繰り返しているが、シンガポール航空、KLMオランダ航空などでも既に『Human Charger』を機内の免税品として扱っている。

そして科学者チームが55人のボランティアを使って、『Human Charger』をフィンランド〜北米を飛行機で移動する際の効果を検証する臨床試験を行ったのだ。

その結果、『Human Charger』の利用者が時差ボケから回復する期間が、通常の約半分に短縮することが確認できたため、EU当局がこれを医療機器として承認した。

このEUの承認を待つまでもなく、海外遠征を行うアスリート達は『Human Charger』を既に利用していた。

例えばNBAバスケットボールの選手なども使用しており、英国のあるプレミアリーグのサッカーチームでは、『Human Charger』を利用する事で、睡眠薬の使用を減少させることができたという。

日本でも発売されている

実は、『Human Charger』は日本でもAmazonなどで『Valkee 2』という商品名で販売されている。

Amazonで購入した人達のレビューを見てみたら、必ずしも海外旅行で使用しているわけではなく、国内での体調管理で役立てているらしいということも興味深い。

確かに『Human Charger』は元々は時差ボケ解消装置として生まれたわけではなかった。

例えば日本でも、寝起きが悪い、寝付きが悪い、日照時間が少ない、といったことで悩んでいる人には役立つのかもしれない。

但し、全ての人に効果があるかどうか分からないので、製品購入は自己責任でお願いします。

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【参考・画像】

※ HumanCharger - Conquer jet lag twice as fast

※ Valkee 2