ラーメン屋に並ぶ行列を見て、つい自分もその中に加わってしまったことはないだろうか? 特にラーメンが食べたいとも思っていなかったのに、行列を見ると「絶対美味しい! 食べなきゃ損!」などと思ってしまう。

 そもそも行列がもたらす効果とはどんなものなのだろうか? 人間行動の研究をしている某大学教授にお話をうかがってみた。

 「行列がもたらす効果としては、『サクラ効果』『メッセージ性』『盗み聞き効果』の3つが挙げられます。この3つのうちのいずれか、もしくはすべてに影響されて、人々は行列に加わってしまうのです」(某大学教授)

 3つの詳細については、以下の通り。

・サクラ効果・・・行列に並んでいる人々が、サクラ的な役割を果たしている
・メッセージ性・・・行列が「何かいいことあるかも!?」という期待を発生させる
・盗み聞き効果・・・行列に並んでいる人々の称賛の声が、説得力をもたせる

 なるほど。行列がもたらす効果は、心理学的にも研究されていることだったのか。

 だが、一方で反発する声も挙がっている。先日にはタレントの伊集院光氏が、某ゲーム雑誌のコラムにて「そろそろ“行列=いい物、いいこと”という取り上げ方は終わりにしませんか?」という内容の記事を書いていた。どうやらテレビのラーメン特番で、ラーメン店開業をプロデュースする男性のアドバイスを聞いて感じたことらしい。そのアドバイスとは、いわく「座席を多くしたら、多少お客さんが入ったとしても空いてる感じがするし、行列もできないよ」・・・う〜ん、消費者側としては待ち時間は少ないほうが嬉しいのに、混みあうような設計をわざわざしているのはちょっと・・・。

 「“行列に並ぶのが面倒臭い”という理由で、去っていく客がいるのも事実。特に最近は消費者側の『もてなされることの意識』が高まっているので、そういう客は多いかも。現に昔流行ったガンコ親父系の店は、苦難の状況にあるらしいからね。“怖い思いまでして食いたくない”っていう客が増えているんでしょう」(某グルメライター)

 消費者が行列を“良いこと”と捉えるか、“悪いこと”と捉えるかは人それぞれ異なるだろう。だけど「今後も行列戦法は通用するか?」と訊かれたら、答えはNOになるかもしれない。(安田明洋/verb)