東電が国に申請していた家庭向け電気料金の値上げ幅が認められ、9月1日から「一般家庭でおよそ8.46%の値上げ」が本決まりとなった。
 ご存じの通り、今回の値上げは福島第一原発の事故で原発が稼働できず、火力発電の燃料費がかさんだため。当初東電は「10%以上の値上げ」を申請していたが、経産省や消費者庁が差し戻し、管理職の給与削減などを断行してようやく値上げ幅を下げたのだ。

 ところが、この値上げ幅には思わぬ落とし穴があるという。証券アナリストがこう解説する。
 「東電は今回の値上げ幅を、『一般家庭で平均359円増』と試算しているが、これは日中留守がちな30アンペアのディンクス(共働き子供なし)家庭。夫婦と子供2人の50アンペア家庭なら、月額1000円強の増額になる。給料の上がらないサラリーマン家庭には、まさにこれは“詭弁”と言わざるを得ない試算なのです」

 もっとも、これはまだ序の口。今回の値上げには、さらなる“カラクリ”が存在するのだ。
 「それが、現在停止中の新潟県・柏崎刈羽原発の再稼働なのです。同原発は、世界最大の原子力発電所として知られているが、東電の試算は7基ある原発中の4基を再稼働させることを前提にはじき出されている。反原発デモが連日数万人単位で行われている現在、よくもこうした試算をイケシャーシャーと提出したものだと、評判なのです」(政治部記者)

 実際、原発再稼働には地元の同意が絶対条件だが、泉田裕彦新潟県知事は、東電の試算が出される前から「福島事故の徹底検証なくして再稼働は絶対ありえない」と猛反発。再稼働の見通しは全く立っていない状況なのだ。
 「つまり、泉田知事が首を縦に振らない限り、来年には値上げに踏み切らざるを得ない状況になる。しかもその値上げ幅は、今回のものを含め15.8%になるという。詭弁を通り越して詐欺に等しい状況なのです」(前出・アナリスト)

 国民を舐めきったヤリ口は、許せない!