今、携帯電話の「2年縛り契約+違約金」というシステムに、利用者から疑問の声が上がっている。

 2011年度中間期連結決算で、ドコモ5085億円、au2667億円、ソフトバンク3732億円という多大な営業利益をたたき出している各キャリア。だが、この好調の理由を、NPO法人「京都消費者契約ネットワーク」の事務局長、長野浩三弁護士はこう指摘する。

「これらの利益が各社の純粋な企業努力の結果なら文句はありません。でも実際は、各社とも消費者の便益を無視した方法でユーザーを囲い込み、利益を確保しているとしか思えないのです。それが“2年縛り”による契約です」

 2年縛りとは、基本料金を割り引く代わりに、2年間ごとの継続契約を求めるもの。ドコモ、auでは特定の料金プランが50%割り引きになり、またソフトバンクでは主力の「ホワイトプラン」(980円)に2年間の縛りがある。

「2年縛りは、au、ソフトバンクの新規契約の9割以上を占めています。また、ドコモでも契約全体の8割以上が2年縛りのようです」(前出・長野弁護士)

 2年縛りの期間内に、その回線を解約すると解約金(9975円/各社横並び)が発生。解約金を払うことなく解約、もしくはモバイルナンバーポータビリティー(MNP)をするには、契約から2年経過後の1ヵ月間(ソフトバンクは初回更新のみ満了後2ヵ月間)に限定されている。

 もちろんこれは、契約書に明記されている。だが、大きくアナウンスされているわけでもなく、各社とも、2年縛り満了をメールで知らせるなどの措置はとっていない。

「ひどい話です。解約金がかからない期間を告知せず、ユーザーに気づかせない戦略なんですから。私は20回線程度契約していて、それぞれの契約期間をエクセルで管理していますが、それでもうっかり解約可能期間を過ぎてしまって9975円を支払わなければならないことがたびたびあります。メールで『今月は無料解約できます』というくらい送ってきてくれてもいいと思いますが、送ってくるメールは広告ばかりで、あきれますよ」(ケータイ研究家・木暮祐一氏)

 また2年縛りは、自動的に延長されるシステム。つまり、2年契約満了から1ヶ月が経過すると、再び2年縛り契約が発生するのである。前出の長野弁護士は、これにも厳しい目を向ける。

「一定期間ユーザーを拘束するという意味では、最初の2年間で十分ではないでしょうか。その後また2年間も解約金を取る契約が続くのは、合理性に欠けると考えられます」

 現在、「京都消費者契約ネットワーク」はドコモ、au、ソフトバンクを相手に、この2年縛りと解約金が、消費者が自由に携帯会社を選ぶ権利を不当に害しているとして裁判を起こしている。だが、3月28日に京都地方裁判所で判決の出たドコモとの裁判では、原告の訴えは棄却されている(控訴予定)。

 今後の裁判の行方に注目が集まっている。

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