NKSJ傘下2社 損保ジャパン日本興亜損保体制見直し発表(1)
大手損害保険グループ、NKSJホールディングス(HD)傘下の損害保険ジャパンと日本興亜損害保険が、ようやく合併に向けて舵を切った。
2010年4月に両社の経営統合で発足したNKSJは、兵頭誠会長(日本興亜出身)と佐藤正敏社長(損保ジャパン出身)の確執から合併シナリオが描けず、一時は「協議離婚」観測さえ飛び交った。それが1月27日、兵頭会長-佐藤社長の相打ち辞任と引き換えに、4月1日付で損保ジャパンの桜田謙吾社長がHD社長を兼務し、日本興亜の二宮雅也社長がHD会長を兼務すると発表、3月末までに合併の具体案を示すと踏み込んだのだ。
この発表を受けた週明けの1月30日、NKSJの株価は15円高の1673円(終値)を付けた。かねてから同社は2014年度中のシステム統合と営業拠点の統合を標榜しており、市場は早々と「合併・編成」を織り込んだのである。
株安のご時世では異例のフィーバー劇だった。何せその直前には、タイの洪水被害による保険金の支払い負担増により、今年3月期の連結最終損益が1000億円前後の赤字に膨らむ公算が強まり、投資家の失望を買ったばかり。もし合併にこぎ着けた場合、業界2位の損保ジャパンと5位の日本興亜をトータルした正味保険料収入(売上高に相当)は、東京海上日動を抜いて、単独の損保としては首位に躍り出る。
それだけに合併に向けての最大の障害と目された兵頭会長-佐藤社長の排除を、市場は好意的に受け止めたのだ。
「ご両人の反目は確かに尋常ではなかった。というのも兵頭さんには『合併すれば損保ジャパンに首根っこを押さえ込まれる』との反発が強く、今後の事業計画に『合併』の二文字を入れることに激しく抵抗した。統合−合併を規定路線と考えていた金融庁は去年の秋、検査中に兵頭さんがあまりに頑なだったことから“兵頭外し”を画策。これを受けて彼を解任に追い込む動きもあったのです」(金融情報筋)
しかし、兵頭会長だけを槍玉に挙げれば日本興亜の反発を招き、家庭内離婚を助長しかねない。そこで金融庁は反目し合う兵頭−佐藤の両CEOに代わって桜田−二宮の社長ラインによる世代交代をアピール、今回の相打ち人事を演出した。共同CEO制度を廃止したのも、不協和音ばかり垂れ流した二頭政治の反省に立ってのことだ。金融庁主導によるそんな舞台裏の演出を承知しているからこそ、兵頭氏は日銀本店で開かれたトップ交代会見に姿を見せなかったのである。
「兵頭さんはアクが強いキャラクターが災いしてか、意外と敵が多い。日本興亜の社長時代にも『損保ジャパンと統合すれば乗っ取られる』として反対する先輩役員たちと激しくやり合った末、押し切って統合にこぎ着けた過去がある。その後、本人が損保ジャパンとの合併に消極的となった揚げ句、引導を渡されて無念のリタイアを余儀なくされたのだから皮肉なものです」(日本興亜OB)
2010年4月に両社の経営統合で発足したNKSJは、兵頭誠会長(日本興亜出身)と佐藤正敏社長(損保ジャパン出身)の確執から合併シナリオが描けず、一時は「協議離婚」観測さえ飛び交った。それが1月27日、兵頭会長-佐藤社長の相打ち辞任と引き換えに、4月1日付で損保ジャパンの桜田謙吾社長がHD社長を兼務し、日本興亜の二宮雅也社長がHD会長を兼務すると発表、3月末までに合併の具体案を示すと踏み込んだのだ。
株安のご時世では異例のフィーバー劇だった。何せその直前には、タイの洪水被害による保険金の支払い負担増により、今年3月期の連結最終損益が1000億円前後の赤字に膨らむ公算が強まり、投資家の失望を買ったばかり。もし合併にこぎ着けた場合、業界2位の損保ジャパンと5位の日本興亜をトータルした正味保険料収入(売上高に相当)は、東京海上日動を抜いて、単独の損保としては首位に躍り出る。
それだけに合併に向けての最大の障害と目された兵頭会長-佐藤社長の排除を、市場は好意的に受け止めたのだ。
「ご両人の反目は確かに尋常ではなかった。というのも兵頭さんには『合併すれば損保ジャパンに首根っこを押さえ込まれる』との反発が強く、今後の事業計画に『合併』の二文字を入れることに激しく抵抗した。統合−合併を規定路線と考えていた金融庁は去年の秋、検査中に兵頭さんがあまりに頑なだったことから“兵頭外し”を画策。これを受けて彼を解任に追い込む動きもあったのです」(金融情報筋)
しかし、兵頭会長だけを槍玉に挙げれば日本興亜の反発を招き、家庭内離婚を助長しかねない。そこで金融庁は反目し合う兵頭−佐藤の両CEOに代わって桜田−二宮の社長ラインによる世代交代をアピール、今回の相打ち人事を演出した。共同CEO制度を廃止したのも、不協和音ばかり垂れ流した二頭政治の反省に立ってのことだ。金融庁主導によるそんな舞台裏の演出を承知しているからこそ、兵頭氏は日銀本店で開かれたトップ交代会見に姿を見せなかったのである。
「兵頭さんはアクが強いキャラクターが災いしてか、意外と敵が多い。日本興亜の社長時代にも『損保ジャパンと統合すれば乗っ取られる』として反対する先輩役員たちと激しくやり合った末、押し切って統合にこぎ着けた過去がある。その後、本人が損保ジャパンとの合併に消極的となった揚げ句、引導を渡されて無念のリタイアを余儀なくされたのだから皮肉なものです」(日本興亜OB)