2011年のインターネット事情を語る上で外せないのが、急増した「大学生の炎上事件」だろう。犯罪の告白から猥褻画像の公開、バイト先など仕事上の守秘事項を漏えいするなど、炎上“ネタ”は枚挙に暇がない。おかげでツイッターは、“バカ発見器”と揶揄されるSNSとなってしまった。

 最大の疑問は、小さな頃から携帯やネットに慣れ親しんできて、スキルが高いはずの今の大学生たちが、どうしてこれほどまでに炎上事件を起こしてしまうのかという点。自分の何気ない書き込みが全世界に公開されることも、また炎上事件が多発していることも知っているはずなのに、なぜ後を絶たないのだろうか。大学ジャーナリストの石渡嶺司氏は現状をこう見る。

「今の学生はネット上で個人的な感情を吐露するのが当然と考えている。実際、彼らは自分の身近な友人に対して話している感覚でつぶやく。しかも、それが他人に見られているという感覚も薄い。仮にほかの学生の事件を知っていても、自分は大丈夫との思いがある」

 非常識といってしまえばそこまでだが、炎上事件は大学の偏差値とは関係なく起こっている。つまり、偏差値=常識という図式は当てはまらないのだ。今年、どんな炎上事件があったのか、振り返ってみよう。

●日本大学
カンニング告白者を量産。前期試験のあった7月には、わかっているだけでも5人の学生がツイッターで告白。さらに、ある学生はカンニングのほか、窃盗や無免許運転など数件の余罪まで自供している。同時期にこれだけの人数が「カンニングなう」とは、さすが日本一のマンモス校。

●大妻女子短期大学
10月、飲食店で見知らぬ男性を盗撮、「ちょおキモいのいた」との中傷コメントつきでブログにアップ。そのブログには未成年飲酒も告白されており、大学に抗議が殺到、彼女は無期停学処分となってしまった。

●上智大学
飲酒運転告白、未成年飲酒など多数炎上した同大学。なかでも、ある4年の男子学生はミクシィに自分の勃起した陰茎の画像を堂々と掲載。ミクシィから削除されるも、プロフィールに大学名などの詳細が載っていたため、騒動に発展した。

●立教大学
同大の学生が集団準強姦容疑で逮捕された事件を受け、4年生(当時)男子学生がツイッター上で「(前略)飲み会で勢いでキスしちゃったとかと変わんねーよクソが。女がわりー」などと暴言。批判が集中すると、逆ギレツイートを次々と投下。その結果、個人情報までネットにさらされ、内定が決まっていた大手百貨店から内定取り消しの処分を受けてしまった。

●青山学院大学
読者モデルを務める1年生の男子学生が痴漢や喫煙、乱交パーティーなどをツイッターで告白していたことが判明し炎上。学生は数日後、「すみません」とブログで釈明したが、その内容が微塵も反省の色を感じさせなかったため、さらなる集中砲火を受けた。また、ある女子大生は自身のブログで、妻子ある40代男性との不倫を赤裸々に実名告白。しかも顔写真付きだったため、『東スポ』などのメディアでも報じられることに。

●中央大学
都内の超高級ホテルにある飲食店でバイトをしていた女子学生が、来客した著名人の情報をツイッターで次々とリーク。お忍びで来店したカップルや経済界の大物も含まれていて、ホテルの信用はガタ落ちに。

 これらは大きな騒動に発展したもので、全体からみればほんの一部だ。SNSを使って、人脈づくりや希望の職種に就くなど未来を切り開いている学生がいる一方で、不注意な書き込みによって将来を台無しにしてしまう学生たち。2012年は、上手にネットとつきあってほしいものだ。


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