「プロ野球の私物化許せない」 巨人の清武代表が渡辺会長を名指しで告発 江川氏のヘッドコーチ就任めぐり内紛
11日、プロ野球読売巨人軍の清武英利球団代表が文部科学省の会見室で記者会見を行なっている。冒頭、清武代表は、ヘッドコーチの人選や就任依頼を巡って、渡邉恒雄氏とのトラブルがあったことを明かした。
清武代表によると、11月9日、渡辺恒雄氏は一軍ヘッドコーチは江川卓とし、岡崎郁氏は降格とすると伝えた。しかし、清武氏、オーナー、監督は「岡崎氏の留任」とすることを決定し、10月20日にすでに渡辺氏の了承も得ていたのに覆されたという。渡辺氏それ以前にも「俺は何も報告を受けてない」とマスコミに発言。清武代表は「これは全く事実に反しています」と憤りを露わにした。
その上で「大王製紙やオリンパスのように最高権力者が会社の内部統制を覆すことはあってはならないと思います」として、「プロ野球を私物化するような行為を許すことはできません」と涙ながらに訴えた。
11日午前に会見の開催を報じた日経新聞が会見内容について「プロ野球界のルールにかかわること」としていたことから、その内容についてインターネット上も騒然となっていた。
Twitter上では「#巨人記者会見きっとこんなだぜ」というハッシュタグが作られ、暴力団排除条例の全国施行直後であることから「黒い交際」の発覚かといった憶測や、日本ハムが巨人からドラフト会議で優先交渉権を勝ち取った東海大・菅野智之投手の件についてか、さらには野田首相のTPP交渉参加表明との関連など、内容を予想する様々な投稿がアップされていた。
会見を受けて、「早い話がお家騒動。文科省でやる会見じゃない。」「ほんとに巨人は思い上がりのくだらない球団」「コンプライアンス上の問題として会見するほどなのかなぁ。」など、球団の体質そのものへの冷静な疑問が投げかけられている。
会見開催の報道を受けて、東京ドームや日本テレビの株価も値を下げていたが、会見開始後、いずれも持ち直している。
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清武代表によると、11月9日、渡辺恒雄氏は一軍ヘッドコーチは江川卓とし、岡崎郁氏は降格とすると伝えた。しかし、清武氏、オーナー、監督は「岡崎氏の留任」とすることを決定し、10月20日にすでに渡辺氏の了承も得ていたのに覆されたという。渡辺氏それ以前にも「俺は何も報告を受けてない」とマスコミに発言。清武代表は「これは全く事実に反しています」と憤りを露わにした。
清武代表の声明全文
私は一昨日、11月9日、読売新聞社の主筆であり、読売巨人軍の取締役会長である渡辺恒雄氏から、「巨人軍の一軍ヘッドコーチは江川卓氏とし、岡崎郁ヘッドコーチは降格させる。江川氏との交渉も始めている」と言われました。
すでに桃井恒和オーナー兼代表取締役社長や原監督と協議して、ヘッドコーチは岡崎氏と内定しており、その旨を岡崎氏や監督に伝え、オーナーが決定した年俸で今日11日に契約書を取り交わすことになっていました。ご本人やチーム首脳もそのつもりで、宮崎で秋季キャンプに入っていたにも関わらず、渡辺氏はそれを覆し、江川氏をヘッドコーチにするというのです。
江川氏は私も尊敬する優れた野球人であります。しかし、私と桃井オーナーは10月20日に読売新聞本社の渡辺会長(のもと)を訪れ、岡崎氏がヘッドコーチに留任することを含む、コーチ人事の内容と構想、今後の補強課題を記載した書類を持参して報告し、渡辺氏の了承も得ていたのです。にもかかわらず、渡辺氏は11月4日夜、記者団に「俺は何にも報告聞いていない。俺に報告なしに、勝手にコーチの人事をいじくるというのは、そんなことありうるのかね。俺は知らん。責任持たんよ」という発言をされています。
しかし、それは全く事実に反することであります。もし、私と桃井オーナーが書類を持参して報告したことに対し、自分が了承したことを全く忘れておられるということなら、渡辺氏は任に堪えないということにもなりかねません。忘れておられていないというのならば、渡辺氏は自分も報告を受けて了承し内定し、さらに一人ひとりの意思も確認され、契約書締結にも着手されていた人事を、オーナー兼代表取締役社長を飛び越えて、鶴の一声で覆したことになります。コーチたちにはプライドもあり、生活もかかっているのです。
これはプロ野球界におけるオーナーやGM制度をないがしろにするだけでなく、内示を受けたコーチや彼らの指導を受ける選手を裏切り、ひいてはファンをも裏切る暴挙ではないでしょうか。ことは、コーチや選手との信頼関係を基盤とする球団経営の原則、プロ野球界のルールに関わることです。それが守られないのでは、球界で生きる選手やコーチ、監督の基本的人権をないがしろにした、と言われかねません。
巨人軍も読売新聞グループの一員であることは十分承知しているからこそ、渡辺氏に丁寧に報告をし、意見を伺ってきましたが、巨人軍は子会社といえども独立した会社でもあります。渡辺氏が酔ったうえで「俺に報告なしに、勝手にコーチの人事をいじくっている」と事実に反する発言を記者団にすることは、経営者としても許されないことであります。
一方、11月7日、桃井オーナーは渡辺氏から次のような内示を受けています。
桃井オーナー兼代表取締役社長をオーナーから外し、清武は「専務取締役球団代表・オーナー代行・GM兼編成本部長」から「専務取締役球団代表・オーナー代行兼総務本部長コンプライアンス担当」とする。「常務取締役総務本部長コンプライアンス担当」の原沢敦を「常務取締役GM兼編成本部長」とする、などという内容です。
さらに、私は11月9日、直接、渡辺氏から「一、二年後に君を社長にする。今後君の定年は68才まで延びる可能性もある。全てのことを受け入れて、専務、球団代表・オーナー代行として仕事を続けてくれ」と要請されました。
野球は人々に夢や希望を与えてくれる国民的スポーツであります。中でも巨人は日本のプロ野球で最も歴史のあるチームであり、とりわけ責任の重い球団でもあります。巨人軍の代表取締役でもない取締役会長である渡辺氏が、その一存で代表取締役社長である桃井氏からオーナー職を突然、剥奪するというのは、多くのファンを集める伝統球団の名誉を貶めるだけではなく、会社の内部統制、コンプライアンスに大きく反する行為であると思います。
また、私は「総務本部長コンプライアンス担当」であるにも関わらず、「GM編成本部長の権限である、補強、とりわけFA交渉と外国人選手獲得を直接担当しろ」との指示も、渡辺氏から受けています。それならばなぜ、FA交渉や外国人獲得交渉が目前に迫ったこの時期に、混乱を招く人事を内示するのでしょうか。
私は読売新聞記者から巨人軍に入団しました。渡辺氏が巨人軍オーナーを退くに至った不祥事の直後に建て直しを期待され、7年間、巨人軍のため、プロ野球界のため、まっとうな経営をやらねばならぬとの信念で、一生懸命取り組んできました。必要なことは、監督、コーチ、選手、スタッフらと相談し、桃井オーナー、渡辺氏にも報告、相談し、了解をえてことを進めてきました。
巨人軍GM編成本部長の仕事は、巨人が闘う人的物的環境を整え、また新たな思想のもとで、常勝の巨人軍の実現に貢献することだと思い定め、補強一辺倒の強化策からの脱皮をはかって来ました。育成制度や選手練成システムを充実させて若者の力を生かしながら、補強とバランスをとった永続的なチーム整備に力を尽くしてきました。
全ての会社にそれが求められるように、読売巨人軍にも内部統制と健全な企業体質、つまりコンプライアンスが要求されると思います。それを破るのが、渡辺氏のような最高権力者であっては断じてならないのではないでしょうか。大王製紙やオリンパスのように、企業の権力者が会社の内部統制やコンプライアンスを破ることはあってはならないことであります。私は 11月9日に渡辺氏とお会いした際、これらのことにつき翻意を求めてきましたが、聞き入れられませんでした。そこでやむなく本日の会見に至りました。
私は、ジャイアンツというチームにも読売巨人軍という会社、そして私を育ててくれた読売新聞社にも深い愛着があります。選手、コーチ、監督を心から敬愛しています。そして、何よりも多くファンの方々を愛しています……。(言葉を詰まらせる)
私には、彼らを裏切ることはできません。不当な鶴の一声で、愛する巨人軍を、プロ野球を私物化するような行為を許すことはできません。これからどのような立場になろうとも、巨人軍、プロ野球界、プロ野球ファンの皆様に寄り添う存在でありたいと願っております。以上です。
会見内容を巡ってはネット上に様々な憶測も
11日午前に会見の開催を報じた日経新聞が会見内容について「プロ野球界のルールにかかわること」としていたことから、その内容についてインターネット上も騒然となっていた。
Twitter上では「#巨人記者会見きっとこんなだぜ」というハッシュタグが作られ、暴力団排除条例の全国施行直後であることから「黒い交際」の発覚かといった憶測や、日本ハムが巨人からドラフト会議で優先交渉権を勝ち取った東海大・菅野智之投手の件についてか、さらには野田首相のTPP交渉参加表明との関連など、内容を予想する様々な投稿がアップされていた。
会見を受けて、「早い話がお家騒動。文科省でやる会見じゃない。」「ほんとに巨人は思い上がりのくだらない球団」「コンプライアンス上の問題として会見するほどなのかなぁ。」など、球団の体質そのものへの冷静な疑問が投げかけられている。
関連銘柄に影響も
会見開催の報道を受けて、東京ドームや日本テレビの株価も値を下げていたが、会見開始後、いずれも持ち直している。
関連リンク
・東京ドームが急落、ジャイアンツの会見控え先回り売り - サーチナ
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