新幹線は1964年に開業して以来、47年にわたって列車乗車中の乗客の死亡事故を1度も起こしていない。なぜこれほどまで安全なのか、7月27日付の新民周刊がその理由を取り上げた。

 記事はまず、日本が「安全を確保するための何重ものシステム」を絶え間なく模索していることを指摘した。JR東海およびJR西日本、JR九州の新幹線は、東京にある新幹線総合指令所の管理・制御によって運行している。制御システムには3重の安全設定がなされており、メインシステムに停止やエラーが生じた場合はほかの2つのシステムが補う仕組みとなっている。

 また、総合指令所にも2つの保険が設けられている。1999年大阪に第2総合指令所が新しく設けられ、東京にある総合指令所が地震災害などによって機能を失うことがあったとしても、新幹線が引き続き安全に運行できるようになっていることを紹介した。

 また記事は第2の理由として、「新幹線に対する膨大かつ複雑な検査」をあげ、「検査項目の内容に関して明確な法律規定まである」と驚きを示した。国土交通省による規定に基づき、検査すべき時間と車両の部分が区分されており、毎回の検査には1000にものぼる項目が含まれている。記事は、「来る日も来る日も行なわれる複雑な検査は、まるで退屈な意味のないもののように思えるかもしれないが、こうした検査によってないがしろにされがちな小さな誤差が発見され、重大な問題を招く隠れた危険を避けられる」と評価している。

 台風、地震などの自然災害が頻繁に起こる日本は、天災と真っ向から立ち向かえないということを熟知していると紹介し、「その証拠に、新幹線は飛行機と同様に、天気が悪くなると、たとえ人びとの旅行に影響が出ようとも利益を損失することになろうとも、一律に減速や運休によって安全を確保する」と紹介。

 最後に「安全神話など存在せず、唯一の神話は、決しておろそかにしない細やかな事前の制御と、いかにリスクを最小限に抑えるかにかかっている」と報じた。(編集担当:及川源十郎)