ローマからミランへの最後の列車が出発したのは、2003年夏のことだった。マルコス・カフーが移籍したときのことだ。そのときから、ミランはローマの邪魔をしないようにしてきた。移籍金ゼロでの獲得は、センシ・ファミリー率いるローマとの関係を壊す恐れがあったからだ。彼らは常に良好な関係を維持してきた。

だが、ローマのクラブ売却が見えてきている中で、ミラン首脳陣はDFフィリップ・メクセスの獲得に関してページをめくることにしたようだ。メクセスとローマの契約は今季限りで満了する。1月のマーケットでも両クラブはコンタクトを取っていた。

ほかのポジションで負傷者が出ていなければ、ミランはすぐにメクセスの獲得にトライしていただろう。だがミランは、移籍金ゼロで手に入れられる来夏にメクセス獲得を先送りにした。メクセスには年俸400万ユーロ(約4億5000万円)の4年契約が用意されている。もちろん、そこにインセンティブやボーナスが加わるのは当然だ。しかるべきタイミングで獲得が発表されることだろう。

メクセスにはレアル・マドリーも近づいていた。ジョゼ・モウリーニョ監督は彼のことをよく知っており、獲得にGOサインを出したと見られる。だが、これは成功しなかった。メクセスがレアルを拒否したとは言えないが、すでにミランとの話があることから、レアルと深く話せなかったことは確かだ。

もちろん、ミランにとってメクセス獲得は守備陣の今後に関する大きな選択だと言える。ミランには今季で契約満了となる選手が8人もおり、契約延長に関しては春に話すことになっている。そのうちの一人が、メクセスと特徴が似ているDFアレッサンドロ・ネスタだ。

34歳のネスタはまず、現役を続けるかどうかを決めなければいけない。人生の選択であり、その意味では金銭的なことは二の次だ。ミランはメクセスがよりうまく溶け込めるように、ネスタがもう1シーズン続けることを応援している。