GK川島7 相変わらず当たっている。存在感は試合ごとに増している。

DF 駒野6.5 前半終了間際に放ったシュートは決めたかった。
DF 闘莉王 7 最後までベントナーに空中戦で負けなかった。
DF中澤6.5 立ち上がりアタフタした場面も見られたが、後半は落ち着く。
DF 長友7 後半になっても攻め上がり、シュートまで持ち込む馬力はたいしたもの。

MF阿部6.5 立ち上がり若干守備面でバタついたが、その後はデンマークに押し込まれても冷静に対処した。
MF 長谷部6.5 あえて言えば、もう少しやれそうな気がする。攻撃でもう少しボールに絡みたい。
MF 遠藤7.5 2点目の直接FKは値千金。あのゴールがなければ、苦しい展開になっただろう。ただ、後半、もう少しボール回しの主役になりたかった。

FW 松井7.5 彼のトリッキーな個人技が、デンマークの大男たちを苛つかせたことは間違いない。もう少し長い時間、ピッチに立っていて欲しかった。
FW 大久保7 相変わらず元気いっぱいなプレイ。大柄なデンマークと対峙すると、その小兵ぶり、俊敏さがより際だった。もう少し周囲と絡めれば言うことなしだが。
FW 本田9 FKの一発だけでも8は出せるが、その他のプレイもパーフェクト。9番兼10番として良い感じでボールに絡み「0トップ」サッカーの主役として活躍。日本の救世主となった。ただ終盤、岡崎にアシストしたプレイは本人も認める通りらしくないし、その直後、フリーで放ったシュートも決めるべきだった。つまり彼は「ハットトリック」のチャンスを逃したわけだ。10マイナス1とする理由である。

交代選手

FW 岡崎6.5 本田のお膳立てがあったとはいえ、彼の決めた3点目のゴールで、デンマークは完全に切れた。
DF 今野 採点なし 今野を左サイドバックに入れ、長友を4−3−「3」の「3」に入れるアイディアはグッド!! というか、僕が以前から提唱していたもの。偉そうに言わせてもらえば、本田を1トップに据える「0トップ」システムといい、岡田監督の趣味は、ここにきて、僕の趣味にかなり接近してきた気がする。
MF 稲本 採点なし

岡田監督7.5
第1戦、第2戦の戦いぶり、さらに言えば岡田監督の過去を振り返ると、この試合も、後ろに引いて構える守備的サッカーをするに違いないーーと、僕でなくても思ったはず。で、それでは守りきれないだろうと、これまた多くの人が思ったはず。

よって、強国デンマークに、引き分け以上の成績を収めることは難しい。その可能性40%弱と僕は思ったわけだが、予想はものの見事に外れた。あの岡田監督が、まさか立ち上がりから「行け!」のサインを出すとは。「打ち合え」の指示を出すとは想像だにしなかった。良い意味で、岡田監督に一杯食わされた気がする。その決断に、拍手を送らないわけにはいかない。

デンマークは開始早々から猛攻をしかけてきた。その10分間の攻防を見る限り日本のベスト16入りはあり得ないものに見えた。だが、猛攻が一息つくと、日本は敢然と前に出た。対オランダ戦とはまるで異なる、頼もしい姿を披露した。

そこで、デンマークは少しばかり驚いた様子を見せた。本田の「魔球」が飛び出したのはその直後。彼のキックと試合の流れはリンクしていた。押されっぱなしの状況下では、決まっていなかったに違いない。やれるという感触を掴んだからこそ生まれた一発だと思う。

で、日本は先制点を奪い1−0とリードしても、遠藤の直接FKが決まり2−0とリードしても、さらに言えば、2−1と1点差に迫られても、後ろに引き、守りを固めようとせず、攻めることを忘れなかった。その結果、逆襲から3点目をもぎ取ることに成功した。

セットプレイだけでなく、流れの中からも得点を奪うことができた意味は大きい。「フリーキック2発のラッキーな勝利」と、言われることはないわけで、つまり、岡崎が決めた3点目は、勝利に重みを与えたゴールだと言える。辛勝ではなく完勝。いっぱいいっぱいの戦いではなかったことに、格好良さを感じる。

何を隠そう、僕は大学時代から、専門誌のアルバイトとしてこの世界で生きてきた。要するに、かれこれ30年以上もファンとしてではなく、格好良く言えば中立なフェアな目線で日本代表を見つめてきたわけだが、この勝利は間違いなく過去最高のエンターテインメントになる。サッカーは面白い。番狂わせの主役を味わう気分は悪くないのである。

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