楽しくない仕事はしてはいけない!グーグル ジャパン会長 【デジタルネイティブと企業】
100年に1度の大不況と言われているが、「ピンチはチャンス」でもある。不況のときこそ新しいビジネスが誕生することも多い。
新しいビジネスチャンスはどこにあるのか。
ビジネスマンや起業家の交流をはかり、新ビジネス創出を目指した「アゴラ・シンポジウム」が、2009年5月29日 都内 情報オアシス神田にて開催された。
アゴラ・シンポジウムは、言論プラットフォーム「アゴラ」のメンバーを中心とした、アゴラ起業塾実行委員会が主催するシンポジウムで、今回は記念すべき第1回となる。
■ダブルスタンダードにメスを - コンサルタント 城繁幸氏
「大不況をいかにして突破するか」と題した第1セッションでは、アゴラ管理人である池田信夫氏をコーディネーターとして、コンサルタントのエキスパート城繁幸氏をキーノート・スピーカーとして、慶応大学教授 池尾和人氏、尚美学園大学教授 西和彦氏が参加するトークセッションが行われた。
城氏は、「労働市場改革の重要性」から日本における労働市場の現状を報告した。
「優秀な学生ほど、大企業あるいは霞ヶ関を目指す。そういう仕組みがすでにできあがっている。」と、現状を痛烈に指摘した。
城氏によると、日本社会は終身雇用をベースとした社会体制を確立した結果、学生(新卒者)は大企業思に縛られ、起業しようとする人が少ないというのだ。一方、一般のビジネスパーソンは年齢が35歳以下でないと転職が難しく、結果として(自分が勤めている企業の)枠にしがみつくしかないという現状を説明し、中高年の転職が難しい社会構造を厳しく指摘した。
また、日本の非正規雇用労働者が会社側の都合で突然解雇される問題にも言及。正規労働者(職能給)と非正規労働者(職務給)の違いが、そのまま日本社会の格差となっている点も強調した。
賃金の企業間格差については、大手企業の正社員は十分に高い賃金を得ているのに対し、中小企業の一部(下請けの立場の企業)は低賃金の人が多いという「ダブルスタンダード」が一般化しており、「半分より上の方は終身雇用で年功序列である。ところが、半分より下の方は、そういったことが与えられないというダブルスタンダードが生じているので、そこにメスを入れるべきだ。」と、企業規模による格差を改革の必要性を説いた。
■仕事はパトスであれ - グーグル・ジャパン名誉会長 村上憲郎氏
「次世代ベンチャーの挑戦」を掲げた第2セッションでは、グーグル・ジャパン名誉会長 村上憲郎氏をキーノート・スピーカーとして、モディファイ CEO 小川浩氏、フィルモア・アドバイザリーCEO 森航介氏、起業家 渡部薫氏による注目のトークセッションだ。
村上氏は、IT企業のベンチャーの先駆けともいえるGoogleが起業して今日に至るまでのサクセスストーリーを紹介した。Googleは、創設者であるラリー ペイジ氏とサーゲイ ブリン氏がスタンフォード大学の寮の部屋で始めたオンライン検索の新しいアプローチをベースとして検索サービスを提供している。インターネットを書籍に例えると、Yahoo!は目次(ポータルサイト)、Googleは索引を提供しているサービスという。
Googleの使命について村上氏は、
「世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにすること。このサービスを無料で提供する。もし、課金するためのサービスとすると、サービスの完成度を高めるのではなく、課金のためのサービスに気遣ってしまう。」と、Googleがあえてサービスの無料化にこだわっている理由を述べた。
Googleが検索結果に広告を掲載するかたちで利益を得ている点も、そこにあったわけだ。
村上氏はGoogleの新しい取り組みとして、グリーンITへの取り組みを紹介した。オバマ政権のIT戦略として「グリーン・ニューディール」政策があり、その政策にGoogleもコミットしていくかたちをとっている。Googleのサービスを今後も提供していくためには、巨大なデータセンターが必要不可欠だが、回路設計や冷却システムの改善だけでは、長期的にみえて不十分。そこで太陽エネルギーなどの再生可能エネルギーを積極的に取り入れる努力をしており、Googleのキャンパス内ではハイブリッド車の研究もすすめているという。
グーグル・ジャパン名誉会長である村上氏だが、あくまで個人的な話であると前置きして個人の理念も披露した。
企業には「ギーク(知恵)」「VC(金)」「ビジネス(汗)」の3つが必要不可欠であり、仕事の心得としては「パトス(熱情的な精神)の論理」が重要であると説く。
「楽しくなければ、仕事じゃない。楽しくない仕事は、やってはいけない。」と、40年間、IT業界の最前線で活躍した経験から得た持論を述べた。
今回のアゴラ・シンポジウムは、入場料が1万円(懇親会費込み)と、シンポジウムとしては高めの価格であるにも関わらず、100名を超える参加者が会場を埋め尽くして臨時に席を設けるほどの大盛況であった。
■アゴラ・シンポジウム第1回「創造的破壊の時代」 - アゴラ
■言論プラットフォーム「アゴラ」
■【デジタルネイティブと企業】記事バックナンバー
・仮想化・クラウドの霧の中でIT日本の背骨が見えてくる技術者のしゃべり場を
・予防だけで会社は守れない 謝罪で済む時代は終わった
・「感情」と「笑い」だ iPhoneアプリ市場で"侍"を目指す作品作りのイロハ
・週末クリエイターで月10万円の副業も!不況に打ち勝つ新ネットビジネス
・【デジタルネイティブと企業】記事バックナンバー
新しいビジネスチャンスはどこにあるのか。
ビジネスマンや起業家の交流をはかり、新ビジネス創出を目指した「アゴラ・シンポジウム」が、2009年5月29日 都内 情報オアシス神田にて開催された。
アゴラ・シンポジウムは、言論プラットフォーム「アゴラ」のメンバーを中心とした、アゴラ起業塾実行委員会が主催するシンポジウムで、今回は記念すべき第1回となる。
「大不況をいかにして突破するか」と題した第1セッションでは、アゴラ管理人である池田信夫氏をコーディネーターとして、コンサルタントのエキスパート城繁幸氏をキーノート・スピーカーとして、慶応大学教授 池尾和人氏、尚美学園大学教授 西和彦氏が参加するトークセッションが行われた。
コンサルタント 城繁幸氏 |
城氏は、「労働市場改革の重要性」から日本における労働市場の現状を報告した。
「優秀な学生ほど、大企業あるいは霞ヶ関を目指す。そういう仕組みがすでにできあがっている。」と、現状を痛烈に指摘した。
城氏によると、日本社会は終身雇用をベースとした社会体制を確立した結果、学生(新卒者)は大企業思に縛られ、起業しようとする人が少ないというのだ。一方、一般のビジネスパーソンは年齢が35歳以下でないと転職が難しく、結果として(自分が勤めている企業の)枠にしがみつくしかないという現状を説明し、中高年の転職が難しい社会構造を厳しく指摘した。
また、日本の非正規雇用労働者が会社側の都合で突然解雇される問題にも言及。正規労働者(職能給)と非正規労働者(職務給)の違いが、そのまま日本社会の格差となっている点も強調した。
賃金の企業間格差については、大手企業の正社員は十分に高い賃金を得ているのに対し、中小企業の一部(下請けの立場の企業)は低賃金の人が多いという「ダブルスタンダード」が一般化しており、「半分より上の方は終身雇用で年功序列である。ところが、半分より下の方は、そういったことが与えられないというダブルスタンダードが生じているので、そこにメスを入れるべきだ。」と、企業規模による格差を改革の必要性を説いた。
■仕事はパトスであれ - グーグル・ジャパン名誉会長 村上憲郎氏
「次世代ベンチャーの挑戦」を掲げた第2セッションでは、グーグル・ジャパン名誉会長 村上憲郎氏をキーノート・スピーカーとして、モディファイ CEO 小川浩氏、フィルモア・アドバイザリーCEO 森航介氏、起業家 渡部薫氏による注目のトークセッションだ。
グーグル・ジャパン名誉会長 村上憲郎氏 |
村上氏は、IT企業のベンチャーの先駆けともいえるGoogleが起業して今日に至るまでのサクセスストーリーを紹介した。Googleは、創設者であるラリー ペイジ氏とサーゲイ ブリン氏がスタンフォード大学の寮の部屋で始めたオンライン検索の新しいアプローチをベースとして検索サービスを提供している。インターネットを書籍に例えると、Yahoo!は目次(ポータルサイト)、Googleは索引を提供しているサービスという。
Googleの使命について村上氏は、
「世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにすること。このサービスを無料で提供する。もし、課金するためのサービスとすると、サービスの完成度を高めるのではなく、課金のためのサービスに気遣ってしまう。」と、Googleがあえてサービスの無料化にこだわっている理由を述べた。
Googleが検索結果に広告を掲載するかたちで利益を得ている点も、そこにあったわけだ。
村上氏はGoogleの新しい取り組みとして、グリーンITへの取り組みを紹介した。オバマ政権のIT戦略として「グリーン・ニューディール」政策があり、その政策にGoogleもコミットしていくかたちをとっている。Googleのサービスを今後も提供していくためには、巨大なデータセンターが必要不可欠だが、回路設計や冷却システムの改善だけでは、長期的にみえて不十分。そこで太陽エネルギーなどの再生可能エネルギーを積極的に取り入れる努力をしており、Googleのキャンパス内ではハイブリッド車の研究もすすめているという。
グーグル・ジャパン名誉会長である村上氏だが、あくまで個人的な話であると前置きして個人の理念も披露した。
企業には「ギーク(知恵)」「VC(金)」「ビジネス(汗)」の3つが必要不可欠であり、仕事の心得としては「パトス(熱情的な精神)の論理」が重要であると説く。
「楽しくなければ、仕事じゃない。楽しくない仕事は、やってはいけない。」と、40年間、IT業界の最前線で活躍した経験から得た持論を述べた。
今回のアゴラ・シンポジウムは、入場料が1万円(懇親会費込み)と、シンポジウムとしては高めの価格であるにも関わらず、100名を超える参加者が会場を埋め尽くして臨時に席を設けるほどの大盛況であった。
■アゴラ・シンポジウム第1回「創造的破壊の時代」 - アゴラ
■言論プラットフォーム「アゴラ」
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