豚肉調製品が急増 ソーセージ原料2倍に 2月EU産

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 欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)発効を受け、2月のEU産豚肉調製品の輸入量が急増した。財務省の貿易統計によると、ソーセージの原材料となるシーズンドポークは前年同月の2倍、ハムやベーコンなどは8割増えた。輸入業者が前月の通関を抑え、関税が下がった2月にまとめて通関した。調製品は関税削減幅が大きく、食肉メーカーの注目度は生鮮品以上に高い。発効2年目の今月からは関税が一段下がり、東京都内の輸入業者は「4月の輸入量も大きく増える」とみる。

 シーズンドポークなどを含む豚肉調製品のEU産輸入量は3956トン。ドイツ、オランダ産中心に、前年同月から2071トン増と倍増した。全輸入量1万5816トンの25%をEU産が占め、シェアは前年から14ポイント拡大した。「関税が下がったタイミングで未通関分を輸入した」と輸入業者。1月の輸入量は前年同月より74%(1969トン)少なかった。

 これらの関税はこれまで20%だったが、段階的に削減される。1年目は16・7%、2年目は13・3%で、6年目に撤廃される。食肉メーカーのスターゼンは「関税が下がりメリットが出てくるため、取り扱いを強化している」(鶉橋正雄取締役)という。

 ソーセージ類は10%だった関税が同期間で撤廃される。1年目は8・3%、2年目は6・7%。2月のEU産輸入量は19%増の281トンだった。都内の輸入業者は「販売価格を下げ、需要拡大が期待できる」とみる。

 生ハム・ハム・ベーコン類も大幅に増えた。イタリアなどEU産は77%(223トン)増の513トン。1月は買い控えで25%(70トン)減の205トン。ただ、1月の未通関分が2月に輸入されたことを考えても、2月の増え幅が大きい。輸入業者は「生ハムをスライス前の原木で輸入し、消費地でカットできるようにする」と話す。需要が高まる生ハム中心に輸入拡大を見込んだ動きだ。

 同製品には差額関税制度が適用され、安い商品にかかる従量税が特に大きく下がった。1キロ614・85円だったが、1年目は307・87円になった。2年目は269・50円。安価な商品の輸入が可能になり、2月の1キロ当たり輸入価格は前年同月から2割下がった。