ワークステーションと聞くと、部屋1つを占領するような巨大なPCを想像する人もいるだろう。たしかに以前であれば、そうした状況も珍しくなかった。

しかしながら、そうしたイメージは、もはや過去のものだ。
現在は、一般的なノートPCサイズのワークステーションが増えている。
持ち運べるサイズながら
・CAD
・医療の高解像度データ処理
など、CPUと専用のグラフィック用プロセッサの性能向上によって十分にできるようになっているのだ。
こうしたダウンサイジングが、新たなニーズを生み出していると言うわけである。




レノボのモバイルワークステーション「ThinkPad P52」は、50万円を軽く超えるワークステーションだ。

CPUには、インテルのモバイル向けのハイエンドCPU「Core i7-8850H」を搭載している。
このCPUは6つのコアを持ち、最大12個の分散処理が可能だ。
動作クロックは2.6GHzであり、最大4.6GHzで動作する、モバイル向けのCore i7としては最高峰のCPUである。

ちなみに、さらに上位となる「Xeon E-2176M」モデルもある。
より高い処理能力が必要な場合は、こちらを選択することもできる。
Xeonプロセッサは、個人向けPCでは、まず搭載されていない。
企業での運用管理を支援するハードウェアを搭載していることから、法人向けのPCに採用されている。なお、Core i7-8850Hも同じハードウェアを搭載している。

・メモリは32GB、最大128GB
・ストレージには高速なM.2 SSDを2つに、
HDDは1台搭載可能で、最大6TBまで内蔵できる
データはHDDに、進行中のプロジェクトは高速なSSDにと言った環境を構築することで、業務に支障を出さない高速で快適な環境を実現すると言うわけである。




ちなみに、SSDの速度を計測してみると、
・読み込みで、2400MB秒を超える
・書き込みで、2000MB秒を超える
一般的なハードディスクの10倍以上の速さでデータの読み・書きができる。

グラフィック処理も個人向けPCとは異なる。
NVIDIAの「Quadro P3200」というCADやグラフィック処理に特化したチップを搭載している。これは動画編集やVRなどの開発にも使えるプロフェッショナル向けのグラフィックスプロセッサなのである。



画面を180°開いてタッチで操作するという使い方も


このグラフィックス性能を遺憾なく発揮するのが、マルチタッチに対応した4K UHD IPS液晶だ。
高精細な4K(3840×2160ドット)表示可能なモニタは、
・10ビットカラー
・Adobe 100% RGBの色域
を再現する。クリエイティブな現場でも即戦力になるプロ仕様なのである。


方向キーの下にはWindows Helloに対応した指紋センサーを搭載


法人向けのワークステーションでは、基本性能の高さだけで不十分だ。
高い基本性能に加えて、様々な環境で利用できる
・高耐久性
・セキュリティ
などクリアしなければならない。
これらの課題をクリアすることで、業務用のPCとして認められる。
ワークステーション用のノートPCが、一般向けのノートPCよりも分厚い筐体だったり、冷却のための本体設計が施されていたり、デザイン的に無骨だったりするのはこのためである。

さて、ここまでこだわったモバイルワークステーションレノボ「ThinkPad P52」
このモデルの動作がどうなのか?

流石にハイスペックなPCだけに、Windowsの起動やアプリの切り替えはサクサク動作し、重い4K動画の編集および出力も快適に行うことができた。
さらに、このPCの特徴はハイパフォーマンスばかりではない、キーボードの打ち心地がよい点も外せないポイントだ。
つまり、オフィスワークのPCとしても使いやすいようにできているのだ。

ワークステーションと聞くと法人業務や特殊な作業、操作に特化したPCというイメージもあるが、実は、一般の業務を円滑にこなすこともできるPCであるのだ。

モバイルワークステーション「ThinkPad P52」は、
ワークステーションでありながら、特に難しい操作もなく普通のWindows 10 Proを搭載したPCとしても利用できるのである。

つまり誰でも簡単に使うことができるのだ。

ThinkPad P52は、妥協せずに高品位なパーツを組み合わせて開発した結果、高価格となっただけといえる。


ThinkPad P52の上に低価格タブレットPC ASUS「TransBook Mini T102HA」を乗せてみた。持ち運びやブラウジング目的など用途によって様々なPCがある


とはいえ、実際の法人利用においても、ここまでの性能は、まず必要ないだろう。ましてや個人向けとなると、ここまでの性能は必要としない、もしくはゲーム用途ならまた違う構成が必要となるのだ。

ここで個人向けのPCに話しを戻そう。今、個人向けのお買い得なPCは、Core iシリーズのCPUを搭載した10万円台のミドルクラスのPCである。
型落ちモデルであれば、8万円台で販売される製品もある。
※価格帯が10万円台でもCPUが「Celeron」や「Pentium」と言ったワンランク下のものを搭載している場合もあるので注意したい。

冒頭でPC市場を回復させるために必要なのは、
「ユーザーのニーズにあった“使えるPC”」と指摘した。

ThinkPad P52もプロのユーザーニーズに応えた製品として、ある意味で“使えるPC”としての条件をクリアしているといっても言い。

今の時代のPC選びとは、安いPCを選ぶのではない。
・長く使えること
・用途の目的やニーズをクリアしていること
これらを考慮した製品を選ぶことが重要だ。


執筆  mi2_303