フィリップ・モリス(PM)の「アイコス」

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 火を使わず煙が出ない「加熱式たばこ」の販売競争が激化している。

 健康志向の高まりや受動喫煙対策の強化などで、紙巻きたばこの売り上げが長期低迷。メーカーが収益を維持するには加熱式が頼みの綱で、本体の実質値下げなどでシェア拡大を狙う。

 厚生労働省によると、2016年の喫煙率は18・3%で、10年前と比べて5・5ポイント減った。一方、加熱式の利用者は増加傾向にあり、喫煙者の約2割を占めるとされる。日本たばこ協会によると、17年度の紙巻きたばこの市場規模は3兆1千億円。加熱式は単純計算で8千億円ほどだ。

 16年に「アイコス」を全国販売したフィリップ・モリス(PM)は、国内の加熱式市場で7割超とされる圧倒的なシェアを持つ。

 ただ加熱式は、バッテリーに寿命がある本体を数年ごとに買い替える必要があり、他社製品に乗り換える契機になる。今年1〜3月のアイコス専用たばこの売り上げはPMの想定を下回った。今月から本体価格を3千円下げて7980円にして、てこ入れを図る。

 追う日本たばこ産業(JT)の「プルームテック」は、加熱温度がアイコスの350度より低い30度。吸い応えは弱いが、「においは紙巻きの1%未満」とPRする。これまでは一部地域のみの販売だったが、今月4日から全国展開を開始。同時に本体とセットで販売していた専用ケースを別売りにし、以前より1千円安い3千円で本体を買えるようにした。

 さらに年内にも、アイコスと同じ高温で加熱する新製品を「対抗馬」として投入する予定だ。「加熱式に本腰を入れ、反転攻勢をかける」(担当者)と意気込む。

 ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BAT)の「グロー」も「ようやく供給体制が整った」として5月、本体の実質値下げに踏み切った。ユーザー登録をすれば実質2980円で本体を買える。

 ただ、加熱式への逆風は今後強まりそうだ。今国会に提出された厚労省の健康増進法改正案では、加熱式も規制の対象になる。大規模な飲食店では加熱式専用の「喫煙室」を設けなければ、飲食しながら吸えなくなる。10月には加熱式で初の増税も控える。

 厚労省は3月、「加熱式たばこの主流煙に有害物質が含まれていることは明らか」「販売されて間もないこともあり、現時点の科学的知見では、受動喫煙による将来の健康影響を予測することは困難だ」とする見解を示した。(筒井竜平)