長崎夜景

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日系イギリス人作家のカズオ・イシグロさん(62)がノーベル文学賞を受賞したことを受けて、テレビなどが「長崎県民の喜びの声」を盛んに流している。

とはいえ、ツイッター上などでは、違和感を訴える声が続出している。

長崎が舞台となった長編小説もあるが......

カズオ・イシグロさんは、両親が日本人で、1954年に長崎で生まれた。地元の幼稚園に通うなどしたが、5歳のときに海洋学者の父親がイギリス政府に招かれたのをきっかけに、家族で移り住んだ。それ以来、イギリスで生活を続けている。

長崎の夜景(othreeさん撮影、Flickrより)

作品には、原爆の傷跡が残る長崎で娘を自殺で失った母親の生き様を描いた長編小説「遠い山なみの光」といった日本ゆかりのものもある。英文学で最高の栄誉とされるブッカー賞を受賞した1989年には、長崎に招かれ、通った幼稚園を訪れたりもしていた。

2017年10月5日夜(日本時間)にイシグロさんの受賞が決まると、テレビなどでは、盛んに出身地である長崎の様子を流した。

「もう地元の誇りですね」といった県民の声を紹介し、地元の書店でイシグロさんの特設コーナーが設けられ、早速本を手にする姿を映した。幼稚園時代の担任へのインタビューも行われ、ちょっとしたフィーバーに沸いているかのようだ。

「『日本的視点を少し持った』イギリス人」との指摘も

イシグロさんの受賞を受けて、ツイッター上などでは、「ほんと、めでたか!」「同じ長崎出身でとても誇りに思います」などと地元の人とみられる喜びの声が書き込まれていた。

とはいえ、イシグロさんは、生後5年しか長崎におらず、その後は、イギリス人として英語圏で生活してきたため、まるで日本人が受賞したかのような報道ぶりには違和感を訴える声が相次いでいる。