女優の清水富美加さんが、幸福の科学への出家と芸能界引退を突如発表した。芸能界からは、「仕事を投げ出すのは無責任」といった批判が相次いでいるが、逆に芸能界の特殊な労働環境や理不尽な「しきたり」が浮き彫りになる事態になっている。

「芸能界のしきたりが非常識だったりするんじゃないの」

幸福の科学は2月12日、声明を出し、清水富美加さんの出家と芸能活動の中断を報告した。思想信条に反する仕事が増えて心身の不調をきたし、2月には医師の診断の結果ドクターストップがかかった。教団の会見では、清水さんが周囲に「死にたい」と言っていたことも明かされた。

突然の活動休止について、タレントの坂上忍さんやアナウンサーの宮根誠司さんらは、テレビ番組で「責任を持って仕事を全うすべきだ」などと批判を展開。歌手の美川憲一さんも15日に出演した「バイキング」(フジテレビ)で「許せない。芸能界にはしきたりというものがある」「しんどいのは当たり前。芸能界ですよ」と非難した。

しかしツイッター上では、「そのしきたりが非常識だったりするんじゃないの」と芸能界の「しきたり」を疑う声もある。

「芸能界は急に辞めたり来なくなった人を契約違反だと恐ろしく咎めるけど一般社会では精神的に鬱になったりして会社に来なくなった人の後のフォローは残った健康な人が淡々とするのが普通」

また、伊集院光さんもラジオで「彼女は死にたいと思っていて、そういう人に『仕事の責任を取っていないのにやめるな』というのは違うと思う」と語り、ネット上で話題になった。それだけ芸能界の空気に違和感を持っている人が多いということだろう。

「月給5万円」や「水着強要」などについては双方の言い分が食い違っており、実際どうだったのかは不明だが、幸福の科学出版が運営するザ・リバティWebでは、清水さんと所属事務所であるレプロエンタテインメントとの契約を批判する記事が記載されている。

それによると、清水さんはレプロと「専属契約」を結んでおり、本人が辞めたいときに辞められない、拒んだ仕事の損害賠償をしなければならないなどの制約があったという。同記事は、こうした契約形態は芸能界では一般的だが、「はっきり言って、奴隷契約」と書いている。

事務所は「可能な限り本人の希望に添う形で円満に話を進めていく」と声明

清水さんは現在、医師の診断によりドクターストップが出ているというが、レプロは「診断書が正しいと考えられない」と反論している。これについて、幸福の科学の広報担当者は、産経新聞の取材に対して次のように回答している。

「事務所側の弁護士が、医療の専門家である医師により書かれた診断書を疑問視したことは、就労者の健康問題を軽視する所属事務所の体質を象徴していると思います。こうした姿勢が電通の女性社員の自死などの悲劇を生んでいるのではないでしょうか」

ネット上でも電通社員の過労死自殺を引き合いに出して清水さんに同情する声があった。

「死にたいと言うなんて、一歩まちがえば電通過労死」
「自殺した電通社員に対しては『死ぬ前に逃げろ』と言っておいて、清水富美加に対しては『迷惑かけるな、逃げるな』だからなぁ。その逃げた先が誰もが知ってる"死"なのか、よくわからない"宗教"なのかでこんなに変わる。本質はそこじゃないのに」

清水さんのツイッターは13日に「出家だけではなくて 誰か ギリギリだと言った部分に隠された事 誰か 気付いてくれてますように また 一つの事実がもう消されそう」とツイート。ただ、抽象的な内容なため、まだまだ未解明な点が多い。

報道によるとレプロは14日夜、マスコミ各社にファックスを送信。「当初から一貫して清水富美加本人の意思を最大限尊重し、可能な限り本人の希望に添う形で円満に話を進めていくつもりでおります」としているという。

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